鼻から?
パリ大学サクレー校がパリ市内のぜんそく児童64人の肺を調べてみたら全員、肺の中にカーボンナノチューブを持っていることがわかりました。人の体内からカーボンナノチューブが発見されたのはこれが世界で初めてです。
カーボンナノチューブは炭素分子が管状になった物質で、グラフェンのシートを筒状にぐるぐる巻きにしたようなもの。軽量で、導電性、強度、弾性に優れ、ナノテクノロジー、半導体、光学機器などの分野で特に人気が高い物質です。
パリ大学ではぜんそく児童64人の気管から採取した液体を調べてみたのですが、そこには全員ひとり残らずカーボンナノチューブがあったのだとか。うち5人は、肺の免疫細胞「マクロファージ(大食細胞)」からもカーボンナノチューブが発見されました。マクロファージは、気管から体に良くない異物の粒子を捕食して除去する働きのある掃除屋さんですね。研究成果はEBioMedicineに掲載中。
体内から発見されたナノチューブの数と発生源は不明です。ぜんそくとカーボンナノチューブの因果関係も不明で、あるかどうかさえよくわかっていません。ただ、このニュースを紹介したNew Scientistが書いているように、過去のマウスの実験では、カーボンナノチューブによってアスベストによく似た免疫反応が引き起こされることもわかっているので、もしかしたらヒトの気道にもなんらかの影響はあるのかも…。
その辺りのことは、いずれ時間が経てばはっきりしそうですね。
Image by Sebastian Kaulitzki/Shutterstock
source: EBioMedicine via New Scientist
Jamie Condliffe - Gizmodo US[原文]
(satomi)