何世紀も貯めていた二酸化炭素が、一気に放出。
地球温暖化を止めるには、人間の活動から出る二酸化炭素の量を減らさなくちゃ…と言われます。でも、我々が減らすべき二酸化炭素排出量は、想定以上に大きいのかもしれません。というのは、地球上では人間以外のものも二酸化炭素を発生していて、その中にはこの数十年で大きく増加しているものもあるんです。その増えているものとは、自然に起きる山火事です。
たとえばインドネシアは今山火事の季節にあり、今月には大規模な被害が報道されたところです。インドネシアの山火事による日々の二酸化炭素排出量は、米国の経済活動全体による排出量をも大きく超えるほどなんです。
インドネシアだけじゃありません。北西アメリカは今、今年史上最悪レベルの山火事の季節から復旧しているところです。インドネシアの泥炭地と同じように、カナダやアラスカの亜寒帯林の土壌には大量の炭素が含まれています。なので北米の火事も、地球の炭素排出量の増加に加担しているんです。
先日Nature Climate Changeで発表された報告書には、今年の夏中激しく燃え続けていた北アラスカのユコン平原についてのある結論が記されています。生態系モデルを使った研究で過去1000年間の山火事の状況を再現したところ、ユコン平原では「火災活動が急速に増加」していることが示されたのです。そしてそれによって、1950年から比べて炭素貯蔵量が12%も減少しています。つまり山火事で、何世紀も土の中に埋もれていた炭素が煙になって広がっていったんです。
インドネシアの泥炭地やアラスカの森で起きていることは、世界中で起こっている可能性があります。今年の夏Nature Communicationsで発表された論文によると、山火事の季節が1979年と比べて平均18.7%も長くなっています。また山火事の季節で燃える可能性のある地球上の場所の面積は、2倍になっています。さらには自然な山火事が起こるはずのない地域、たとえばオレゴン州やワシントン州の温帯雨林も燃え始めています。気候変動によって世界中が燃え出していて、それがさらなる温室効果ガスの発生源となり、地球温暖化を煽る、という悪循環なんです。
今年12月、世界の指導者がパリに集まり、今後数十年の人間による二酸化炭素排出量についての条約を締結しようとしています。森林火災の増加も考えると、厳しめの目標値を世界で共有したほうがよさそうですね…。
source: Nature Climate Change、The Washington Post
Maddie Stone-Gizmodo US[原文]
(miho)