2015年4月、フランスで「やせすぎのモデルを採用したら罰金約1000万円!」という驚きの法案が可決された。身長と体重のバランスを表す体格指数(BMI)が18以下を「やせすぎ」とし、やせすぎモデルを雇用した事務所は最高で6ヶ月の禁固刑と75,000ユーロ(約980万円)の罰金を科されるというものだ。
その背景にあるのは、現在4万人ともいわれる「拒食症」患者の増加を食い止めることだが、BMI=18は身長170cmの人なら52.6kgと、極端にやせすぎな印象はない。身長と体重だけで割り出されるBMIのみを基準にするのは少々強引な気がするが、「18以下はやせすぎ!」はひとつの「指標」として、世界中に大きなインパクトを与えたことは確かだ。
■「やせすぎ」の基準
フランス国民議会は、体格指数BMI(ボディ・マス・インデックス)が18以下のモデルを「やせすぎ」とし、「雇用した事務所には刑罰を科す」とする法案が可決された。違反したモデル事務所は、6ヶ月以下の禁固刑と日本円で1,000万円クラスの罰金が科されるという、厳しい措置である。
BMIとは「体重kg÷身長m÷身長m」の計算式で割り出される「体格を表す指数」のことで、BMI=18を身長別にあげると、
日本の厚生労働省のBMI基準は、
一般的に、人間は骨の太さや筋肉量に違いがあり、身長/体重が同じ、つまりBMIが同じひとでも見ためはさまざま。ビジュアル第一!なモデルの体型や栄養状態を、BMIのみで判断するのは少々強引な気がするが、ファッション界をリードしてきたフランスがこのような対策を打ち出したことは、世界中に大きなインパクトを与えたと言えそうだ。
■目的は「拒食症」撲滅
この「やせすぎ禁止法」の背景にあるのは「摂食(せっしょく)障害」である。日本はもちろん、アメリカやイギリスなどでも増加傾向にある摂食障害には、拒食症(AN)と過食症(BN)の2通りがあり、どちらも体重に対する極度のこだわりやさまざまな精神的ストレスが原因になっている場合が多い。
現在、フランスの「拒食症」患者は4万人にものぼり、その9割を占めるのが多感な10代の女性とされている。スラっとしたモデルに憧れるうちは良いが、無理なダイエットをすることで栄養失調に陥る「拒食症」は、日本の厚生労働省では致死率7%とする、命にかかわる病気なのだ。
最近、日本の20代女性の1日の摂取カロリーが終戦直後と同等以下なことが話題になったばかり。スリム=キレイの概念は女性に根強いが、極端なやせ願望は拒食症につながり、低体重児出産のリスクも増える。
■まとめ
・フランスでは、BMI18以下のやせすぎモデルを雇用した事務所は、罰金&禁固刑
「モデルとは美しさの手本。よく食べ健康に気を使うべき」との理由から可決された本法案。モデルって…大変だ。