コンビニの廃棄弁当を持ち帰ったことを理由に、店長から謹慎処分を言い渡されたーー。そんな告白がネット上の掲示板に投稿され、話題になった。
投稿者はコンビニでバイトしているが、期限切れの弁当を廃棄することを「食べ物を粗末にするのが心苦しい」と考え、店長に内緒で持ち帰っていたそうだ。ところがある日、店長にばれて、「今日から1週間、自宅謹慎」「辞めたかったら辞めても良い」と告げられたという。
他の投稿者からは「どうせ捨てるならくれればいいのに」という意見もあった。店側が持ち帰りを禁止している廃棄弁当を持ち帰ることは、法的に問題があるのだろうか。足立敬太弁護士に聞いた。
●手口が悪質なら、立件される可能性がある「賞味期限切れの弁当は、廃棄物であっても、所有権は店にあります。また、物を占有(事実上支配)しているのは、店長だと考えられます。
そのため、店長に黙って廃棄弁当を持ち帰ることは、店長の占有を侵害したとして、窃盗罪が成立すると考えられます」
足立弁護士はこのように指摘する。もともと捨てる予定の物を盗んでも、窃盗になるのだろうか。
「廃棄弁当の経済的価値は、一般的にはゼロに近いかもしれません。しかし、価値が低いからと言って、窃盗罪の成立を否定する理由にはなりません」
なぜだろうか。
「もちろん、被害額が小さければ、ただちに警察の捜査対象になることはないでしょう。
しかし、場合によっては刑事事件として立件される可能性は否定できません。
たとえば、コンビニのシフトに入るたびに毎回弁当の持ち出しを繰り返す。勤務日でないのに商品入れ替えの時間にわざわざ店にやってきて廃棄弁当を持ち帰る――。
そんな風に、持ち帰りが常習となっていたり、手口が悪質といった事情があれば、刑事事件として立件される可能性があるでしょう」
足立弁護士はこのように述べていた。
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
足立 敬太(あだち・けいた)弁護士
北海道・富良野在住。投資被害・消費者事件や農家・農作物関係の事件を中心に刑事弁護分野も取り扱う。分かりやすく丁寧な説明だと高評価多数。
事務所名:富良野・凛と法律事務所
事務所URL:http://www.furano-rinto.com/