『機動戦士ガンダム』の生誕40周年を迎える2019年に18メートルの実物大ガンダムを動かすアイデアを募集し、一般公開することを目指すプロジェクト『ガンダム GLOBAL CHALLENGE』の第1次選考発表会が26日、東京・秋葉原で開催された。ガンダムの生みの親・富野由悠季氏はこの日発表されたさまざまなガンダムを動かすアイデアを「絵空事でものを考えている人たちが大嫌い」と毒を吐きつつ、「こんなバカバカしい遊びができる平和な日本はとてもすてきな国だな。立ち上がるガンダムを見せてくれるというなら、見せてほしい」とプロジェクトに携わる人たちにエールを送った。
6階建のビルに相当する大きさの人型ロボットを動かそうという、壮大なプロジェクト。富野監督は「2009年に実物大(1分の1)ガンダム(現在、東京・台場のダイバーシティ東京に常設)を見た時に、奈良の大仏さまに少し勝っているかもしれないと感動を受けました。これが何らかの形で動いてくれたら、次の何かを考えてくれる子どもたちが出てきてくれるのではないのか。具体的にやってみせるというのは、とても大事なことだと思っています」と期待を寄せた。
この日は、14年7月より一般募集してきたアイデアの中から、18メートルのガンダムを実際に動かし、それをエンターテインメントとして成立させる具体的なアイデアや設計プラン「リアルエンターテインメント部門」の受賞者に認定証が授与された。同時に募集していた視覚効果を利用して仮想空間で動きを再現する「バーチャルエンターテインメント部門」は該当者なしだった。
授賞式でプレゼンターを務めたロックバンド・X JAPANのギタリスト・SUGIZOは「かつて少年だった僕らが夢見た未来が現実化している実感があります。世界の情勢や環境、問題は山積していますが、夢を一つひとつ現実に結びつけてくれる科学者の方々に世の中を導いていってもらいたい。引き続き、研究をよろしくお願いします。ガンダムとこの世界のために」とコメント。
同プロジェクトの代表理事を務めるサンライズ取締役社長の宮河恭夫氏は、このガンダムを動かすプロジェクトを「アポロ計画」と重ね合わせ、改めて抱負を語った。「月面着陸という人類未踏のロマンに向かって進められた壮大なプロジェクトで、NASAはたくさんの技術を生み出し、我々の身近なものにも息づいています。ガンダムを動かすことにロボット工学的な意味はないかもしれませんが、思考錯誤することでロボット技術の振興が促されればいい。さらに、エンターテインメントとして成立させ、楽しんでいただくことで、日本のコンテンツとものづくりの産業技術の掛け合わせで相乗効果が発揮され、日本ならではのオリジナリティーを持ったプロジェクトになるのではないか。難しいからこそ達成したい」。
同プロジェクトは、この日発表された受賞アイデアをもとに、オープンイノベーションとしてさらなるアイデアを公式サイトで募集する(期間は11月2日から来年2月29日まで)。来年秋をめどに基本プランを決め、17年より実施設計に入り、19年のお披露目へつなげていきたいとしている。