自分より自分のことをFacebookが知るようになる未来 | TechCrunch Japan

Facebookにログインして、ニュースフィードの投稿をクリックしたり、写真を「いいね!」したり、Messengerで誰かにメッセージを送ったりする度に、銀河のように広大なデータ群にユーザーは自身と自身の行動に関する小粒なデータを加えている。それぞれのデータは、何億人といるユーザーの宇宙規模の情報の中ではとても小さく、意味をさほど持たないものだ。

人々の情報、興味関心、活動に関して最も包括的に広範で深いデータセットを保持しているのはFacebookだろう。(本当のところはNSAしか知らないが。)GoogleはAndroidと検索において、より多くの生データを収集しているだろうが、そのほとんどは個人と紐付くものではないだろう。Stacksと呼ばれる主要サービスの中でも、Facebookが最もユーザーのことを知っていると言える。

Facebookはこれらのデータを広告に使用することができる。これは議論の余地がある用途ではあるが、それ以上に非常につまらない用途だとは思わないだろうか。以前から私にとって広告より魅力的だと思える活用方法は、データでユーザーの内面を推論することだ。つまり、Facebookに公表していないことでもオンラインの行動からユーザーの内面を推論し、そのユーザーが新しい情報や状況に触れた時にはどのような反応するかを表出するかを推論することだ。最も興味深いことは、Facebookはデータという点描を用いて、ユーザーのずば抜けて正確な人物像を描くことができることだ。データポイント一つ一つが絵の点になる。

これは抽象的な概念だ。いくつか実例を考えてみよう。Facebookがユーザーのアプリやサイトの利用方法や投稿するリンクや写真の情報、使用するアプリ、「いいね!」したものから高い確度で、そのユーザーが仕事熱心か怠惰な人かを推論したり、クレジットの信用度を割り出したり、被保険者としてのリスクがあるかどうかが分かる状況を想像してみてほしい。将来的に雇用主や保険会社になるかもしれない組織が興味を持つ情報だとは思わないだろうか?

それに比べると未来感のある話ではないかもしれないが、すでにユーザーの電話はユーザーがうつ病であるかを検知することができる。ユーザーの性格を判断し、収集したソーシャルグラフの情報から人間関係に問題があるかどうかをアルゴリズムで検知することが可能だ。

さらにFacebookは集めるデータを増やせるようにした。先週、何兆もの投稿を検索できるように機能を拡張したのだ。これで、ユーザーの検索したデータをすでに保有しているデータに加えることができるし、実際にそうするだろう。

ユーザーならFacebookがそれらのデータを本当に利用するのか、もしそうならどの程度利用するかを知りたいと思うだろう。ユーザーが秘密にしておきたいことを無意識的な行動からFacebookに知られてしまうことに気がつけば、そのユーザーはFacebookをプライベートの場面で使用しなくなるかもしれない。つまり、素直な行動は減り、シェアも減り、用心して慎重に利用することになるだろう。結果的にFacebookを利用する時間は減ることになる。

一方、Facebookがユーザーについて何を知っているかを明確にせず、Facebookはリーチと利益を増大させるために、それらの情報をユーザーから見えづらい方法で使用することになるかもしれない。

訳:TinderやOK Cupidでマッチした人をFacebookが友達として提案をする理由とその方法に関する良い調査内容

訳:Facebookのアルゴリズムの気味が悪いことは、結局ユーザーは知ることができないことにある。曖昧な悪意がある組織かもしれないと推測することしかできない。

そうなれば、Facebookは一方通行にしか見えない鏡のような存在になるだろう。それも投影した先の方が本人よりも本人のことを知っていることになるかもしれない。これは、フィリップ・K・ディック(あるいはカフカ)の小説に登場するような、面白い部分もある一方で恐ろしい倫理的な問題を持ち上がる。もし、Facebookのディープニューラルネットワークが、ユーザーの行動に基いて、ユーザーが自殺をしようとしていることを予測できるようになったら?ユーザーが誰かを殺害しようとしていることが分かったら?それも90%の確度で知っているなら?それが間違いだとしたら?

私は答えを持っているわけではない。しかし、人類のデータがこの規模で収集され続けるほど、その可能性について検討する余地はあると考えている。そう遠くない未来、そのデータは私たちが秘密にしておきたい内面を見透かすレントゲンのようにも、次の行動を明るみに出す懐中電灯にもなるだろう。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website/ twitter