渡辺紘文監督、2作連続で98歳の祖母が出演「私は女優」にニッコリ | ニコニコニュース

ティーチインを行った渡辺紘文監督(中央)ら
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渡辺紘文監督作「七日」が10月25日、第28回東京国際映画祭「日本映画スプラッシュ」部門で上映され、主演・脚本を兼ねた渡辺監督と、渡辺監督の実弟で音楽を担当した渡辺雄司氏、撮影監督のバン・ウヒョン氏が、東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズで行われたティーチインに出席した。

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映画は、北関東郊外の農村を舞台に、牛舎で日々黙然と働く男と、年老いた祖母とのふたりで暮らしを静かに描く。自然の中で繰り返されるふたりの生活が、セリフを排した白黒映像で映し出される。"おばあちゃん"役の平山ミサオさんは、渡辺監督の実の祖母で、2年前の第26回東京国際映画祭の同部門に出品された渡辺監督作「そして泥船はゆく」に続き、2度目の映画出演を果たしている。

渡辺監督は、98歳の実祖母の出演について「前作のときは映画を撮ると言っても全然気にしていなかったが、前作がいろんなところでかかった。デイサービスに行くと"女優さん"と言われたりして、今作では『私は女優だから』という感じになっています(笑)」とほほ笑ましいエピソードを披露した。

また、観客からハンガリーの鬼才タル・ベーラ監督の作風に近いとの意見があり「インスパイアされたか?」と質問が飛ぶと、「タル・ベーラ監督が好きで見てはいますが、ベーラ監督はじめヨーロッパの映画と僕たちの映画が違うのは、神さまの位置が違うところ。僕が今回描いた作品で自然があんなにたくさん出てくるのは、八百万神、生命のようなものを描こうとしていたからです」と明かした。

さらに、今作のバジェットにも言及し、「『そして泥船はゆく』はプールの監視員をして貯めた50万円で製作しました。今回はそれよりも低い。スタッフも4人から3人になりました(笑)」と自嘲気味。しかし「追い込まれるといろんなアイデアが浮かぶということは身に染みた」と低予算映画の醍醐味を伝えた。今作も「激烈な賛否両論を呼んでいる」というように「面白いと言ってくれる人もいれば、ゴミだという人もいるから映画は面白い。常に挑発的な、攻撃的な面白い作品を作り続けていきたい」と今後の展望を語った。

第28回東京国際映画祭は10月31日まで開催。