大阪市東住吉区の小6女児が死亡した火災で、大阪高裁が再審開始を決定した青木恵子さん(51)と内縁の夫だった朴龍晧さん(49)が26日午後、刑の執行を停止され、それぞれ収監されていた和歌山、大分各刑務所から釈放された。2人は弁護士らとともに大阪に向かい、同日中に記者会見する。
スーツ姿の朴さんは午後2時すぎ、弁護士とともに大分刑務所から現れた。「自由の身にしてくださり本当に感無量。20年ぶりなので、まるで遠い外国の地に立っているようで、まだ現実感がない。夢のようで景色が輝いて見える」と一言一言をかみしめるようにして話した。
20年間を振り返り、「ずっと心がピンと張り詰めていたので、今もそれをひきずっている」と涙をこらえるような表情を見せた。「少しずつ解放感を実感すると思うが、また次の闘いが待っているので、しっかりと心を整えたい」と述べた。
青木さんも和歌山刑務所前で報道陣に対応。亡くなった娘めぐみさん=当時(11)=が好きだったという黄色のカーディガンと髪留めを身に着け、涙ぐみながら「やっと当たり前の世界に戻れた」と語った。
「娘が青空のどこかから私を見て『ママ良かったね』と言っている声が聞こえる。ずっと見守ってくれてありがとうと伝えたい」と声を振り絞った。24日の長男の誕生日を祝えなかったことについては、「夜に泣いた。20年分の誕生日を祝ってあげたい」と述べた。
2人は1995年、青木さんの長女を保険金目的で殺害したとして殺人罪などに問われ、最高裁で無期懲役が確定。しかし、大阪高裁が23日、大阪地裁に続いて再審開始を認める決定をした。刑の執行も26日午後2時に停止すると決めた。