中国メディアの澎湃新聞は21日、中国の習近平国家主席が英国を訪問したことに対し、英紙ガーディアンが英ケンブリッジ大学の「Martin Jacques」研究員の手記を掲載し、「米国が没落しつつあるなかで、中国が勃興しつつある」と伝え、英国はこの現実を無視することはできないと指摘した。
記事は、「英国のキャメロン政権が外交政策をこれほど変化させることを3年前に予測できていた人はいなかったはず」と指摘し、英国と中国の接近に驚きを示した。さらに、英国の外交政策の変化は、中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)への参加が皮切りだったと指摘し、英国の参加によってフランスやドイツなどのAIIB参加につながったと論じた。
続けて、AIIBは国際通貨基金(IMF)や世界銀行にとっての脅威であるため米国は英国のAIIB参加に反対を示したと伝え、「長期にわたって米国の外交政策の影響下にあった英国にとって、AIIB参加は米国の意向を無視した初めての単独行動と言える」と主張した。
さらに記事は、英国の決断の背後にあったのは「中国の勃興が国際経済の変化を招くという認識」だったと主張。2005年に当時の国家主席だった胡錦濤氏が英国を訪問した際、英国の国内総生産(GDP)は中国をまだ上回っていたとしながらも、現在の中国のGDPは保守的に見積もっても英国の3倍にまで膨れ上がったと伝えた。
続けて、習近平国家主席の英国訪問によって英中両国は経済分野での協力を深化させる合意をまとめたことを紹介。また、英国国内には中国との接近によって米国との関係が希薄化することに懸念を示す声があるとする一方で、「現在の世界情勢は変化しており、米国は没落しつつある」と主張、中国経済は2030年には米国の2倍の規模にまで成長する可能性があることを伝え、英国だけでなく、いかなる国も「米国の没落と中国の勃興」という現実を見ないふりはできないと論じた。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)