磁石にくっつく不思議な貝、ウロコフネタマガイ

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ウロコフネタマガイ」という種類の貝は、インド洋の奥深く、熱水噴出孔の近くに住んでいます。見た目もその名の通り「鱗」で覆われた変わった姿ですが、ユニークなのは外見だけではなく、なんとその表面の殻は磁石にくっついちゃう…そう、が含まれてるんです。

このウロコフネタマガイが最初に発見されたのは2001年に行なわれた調査でした。この貝は海の底の熱水噴出孔付近にいたためになかなか発見されなかったのです。そしてその熱水噴出孔が、殻の秘密になっているようですよ。

外側の層がなければ、中の柔らかな体を覆う殻は、ほかの貝と変わらず炭酸カルシウムの層でできています。つまりいちばん外側の層を除けば、あとはほかの貝類と変わらないんですね。

この殻の外側の層はグライガイトと、「愚者の黄金」としても知られる黄鉄鉱でできています。グライガイトも黄鉄鉱も、ともに鉄を含んでいるので、ウロコフネタマガイを捕まえたければ強い磁石を海底で引きずればくっつくはずです。

地球に住むほかの生き物の中に、ウロコフネタマガイのように鉄で殻を作る生き物は存在しません。ウロコフネタマガイがこんな特殊な殻を作るに至ったのは、硫黄によるためだと考えられています。熱水噴出孔では硫化水素がたくさん放出されており、ウロコフネタマガイはこの硫化水素を使うことで、殻の外側の層を強化できたというわけです。


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「X-メン」に出てくるマグニートみたいな、磁力を操れる捕食生物が出てくるまではきっと熱水噴出で平和に暮らせることでしょうね。


image by Chong Chen

Esther Inglis-Arkell - Gizmodo US[原文
(abcxyz)

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