Netflix(ネットフリックス)のコンテンツ部門最高責任者のテッド・サランドスは、この夏にかなりの話題を呼んだFXネットワークのCEOジョン・ランドグラフの主張を押しのけ、インダストリー・フォーラムにて「テレビ番組が多すぎるなんてことはない」と述べた。
サランドスの指摘は、ハリウッド・ラジオとテレビジョン・ソサエティーズによる毎年恒例のステート・オブ・インダストリー・ランチョンにて、来年400本を超えるオリジナル脚本シリーズという過剰な供給を引き合いに出してランドグラフが示唆した「配給会社が多くの資金と労力を費やしていている中で、人々はそれほど多くの番組を見ていないのではないか」という懸念を受けてのものだ。
ランドグラフは、テレビジョン・クリティクス・アソシエーションのツアー中にビバリーヒルトンホテルの壇上で同じ意見を述べ、供給はすでに需要を超えているという懸念事項を表明し、オリジナル・プロダクションは破裂する運命の「バブルの最終段階」を上っていると語った。
もっと見る:FXネットワークの上役ジョン・ランドグラフ「単純に番組が多過ぎる」(英文)
サランドスのコメントは、業界の状態について概して強気な考察が持ち味だった。ABCエンターテイメント・グループの代表であるポール・リーは、一部の古いルールが追放されるのを見ることに満足しているとし、マイノリティによる番組は多くの聴衆には届いていないという信念を語った。テレビドラマ『殺人を無罪にする方法』と『Black-ish(原題)』のような番組でABCは成功しているとそれとなく告げ、リーは、テレビは人種といった問題を扱うことができ、「幅広い視聴者を引き付けることができ、最も重要なことして、とても大きな創作の波を解放できる」と述べた。
リーは、放送網が自らの下落しつつある視聴率の埋め合わせをするために、番組所有権から再放送費に至る新たな収入源を見つけたとも語った。その一方で、Netflixに視聴者データを公開ことに対する反論を繰り返し述べたサランドスは、放送網のビジネスモデルには問題があり、動的な広告挿入(タイムリーな広告を出せるように、出す広告の内容を常にアップデートする仕組み)だけでその状況を改善することができると語った。
左から:ジョン・アーリックマン、ポール・リー、テッド・サランドス、サンドラ・スターン、フランシス・バーウィック、デヴィット・ネヴィンズ
ショータイム・ネットワークスの代表であるデヴィット・ネヴィンズは、業界内での急激な変化を議論しつつ、彼の会社がインターネットを通じて番組販売を手がけ始めることに言及し、「これは明らかに今後の我々の成長を担っていく」と述べた。また、パネリストたちは次のことに同意したように見えた。現在の視聴者に見られる二つの傾向(見たい時にすぐ見たい、好きなものを何度も見たい)が、ネヴィンズが言うところの「中毒的で、高品質なシリーズ番組」に利益をもたらしている。
リーは「私たちは全てオンデマンドの世界の中にいる。その世界が好きでなかったら生き残れない」と述べた。ABCのエグゼクティヴは、包括的なブランドを持っていることにはまだ価値があると語り、「私たちは私たちが誰であるかを知ることによって、より強いネットワークを作ることができる」と述べた。ライオンズゲート・テレビジョン・グループの代表であるサンドラ・スターンは、それをやや批難して、AMCが製作したテレビドラマ『MAD MEN マッドメン』を一例に、次のように語った。「時々、君たちはリスクを取らねばならないし、時には自分のブランドから少し外側へ出ることも必要になる」。その指摘にはリーも同意し、「現在、テレビについて素晴らしいのは、リスクをとることが報酬に繋がることだ」と述べた。
台本通りに作られる番組が礼賛されるあまり、最近そのような番組が多過ぎることはないかという質問をよそに、NBCユニバーサル・ライフスタイル・ネットワークの代表であるフランシス・バーウィックは、多くのケーブル・テレビがいまだにいわゆるリアリティー番組頼みであることを指摘し、このような番組がほとんどであるということは「人々が話したがらない、ダーティーな秘密だ」と語った。バーウィックは、リアリティーのスターはそれぞれの数ある挑戦を表現している、と冗談をとばし、番組を続けるために「我々は彼らを檻の外に出しておかねばならない」と付け加えた。
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