不運は重なる!? 人生が“カオス”の時期はどう乗り越えるか | ニコニコニュース

不運は重なる!? 人生が“カオス”の時期はどう乗り越えるか
独女通信

「私はどこで間違えたのかしら…」。人生がうまくいかないと、そのように過去を振り返り、途方に暮れてしまう瞬間もありますよね。頼れる存在もいない状態で大きな不運が重なると、生きる気力を保つのが難しくなってしまうことも。特に30代、40代は仕事や家族にいろいろな変化が起きる世代。女性の人生が“カオス”になったときは、どのように立ち直ればいいのでしょうか。

■ あなたの「人生」の重さは、「愛」の重さは…!?

近日公開のノルウェー映画『1001グラム ハカリしれない愛のこと(http://www.1001grams-movie.com/intro.php)』では、そんなヒロインが描かれています。主人公マリエは科学者で、計測のエキスパート。しかしプライベートでは結婚が破綻し、夫は自分の留守中に隠れて少しずつ荷物を運び出している状況。それも「写真」以外のすべてのものを…。そんな時期に、ほぼ唯一の家族である父親が亡くなり、仕事でも大きなミスをしてしまう。口数の少ないマリエですが、「周りにあるものすべてが壊れていくみたい」と静かに絶望するのです。

この作品では、「計測」という馴染みのない分野が描かれていますが、驚いたのは「1キロの重さ」というのは、実は僅差ながら微妙に一定ではないということ。最近ニュース(http://www.asahi.com/shimbun/nie/kiji/kiji/20111028.html)にも出ていましたが、1キロというのは、「キログラム原器」なる物体を複製して各国で管理されている基準なのだそうです。「1キロって、絶対的な1キロではないのか…」と思うと、この世で普遍的だと思っていたものの“基準”を疑うような気持ちにもなりますよね。

それは人生も同じなのかもしれません。「結婚生活こそが私の人生の大部分」と思っていても、ある日突然それがなくなることもある。「仕事が生きがい」と頑張っていても、急にどうでもよくなってしまうこともある。一種のたとえではありますが、物事の“重さ(=重要度)”だってそんな風に意外と容易に変わってしまう。年齢を重ねると、「私はこうだから」と思い込んで世界を狭めてしまいがちですが、人生だって“可変的なもの”だと捉えていれば、何が起こってもあまり思い詰めずに済み、ちょっぴり楽に生きられるかもしれないな…なんて思ったのでした。

■ “カオス”の先には、きっと「新しい自分」「新しい人生」が!

マリエも徐々にそのことに気づいていきます。「人生の一番の重みは、背負うものがないこと」なんて意味深なセリフも登場しますが、ある男性との出会いによって、徐々に心の自由を取り戻していきます。実は人生が“カオス”なときは、大きく脱皮できるチャンス。これまで「こうあるべきだ」と思っていた自分の基準が揺らぎ、「こんな考え方(生き方)もありなのかもしれない!」と自由で新しい生き方に飛び込める、そんなチャンスだと言えるでしょう。

マリエのように、「結婚や愛の危機」「仕事の失敗や失職」「親の病気や喪失」すべてが一気に来ることは珍しいかもしれませんが、近しい状況を体験した知人がいます。彼女は丸3年間、実親の壮絶な介護をして亡くされた末に、「私は本当にこの人生でいいの? もっと外の世界も知りたい。今やりたいことを今やらなければ…」と突き動かされ、愛を感じられなくなっていた夫との離婚を決意。専業主婦を引退し、学生時代に取得していた資格を活かして初就職。今は病院で生き生きと働いています。前夫とは当然紆余曲折はあったものの、今は友人として程よい距離で付き合っているとか。彼女は「最近、ちょっと好きな男性がいるの」なんて楽しそうに笑っていました。

「こうであるはず」だと思っていた基準が揺らいだときは、今までの自分らしくない生き方だって、どんどん選んでいけばいいのかも。四角四面に生きたところで、プッと馬鹿らしくなるような“可笑しみ”も人生には訪れる。愛も人生も、もうちょっと行き当たりばったりでもいいのかもな…なんて感じた次第です。

どのシーンもポストカードのように美しく、北欧作品ならではの色彩やインテリアも楽しめる映画『1001グラム ハカリしれない愛のこと(http://www.1001grams-movie.com/intro.php)』は10月31日(土)よりBunkamuraル・シネマほか全国ロードショーです。(外山ゆひら)

(写真) BulBul Film, Pandora Film Produktion, Slot Machine (c) 2014