『監獄学園-プリズンスクール-』オープニングテーマを歌う4人組ロックバンド・HaKUに、「衝動」秘話を聞く | ニコニコニュース

『監獄学園』原作者・平本アキラ描き下ろしジャケット
おたぽる

 原作コミックの累計発行部数が700万部を突破し、アニメ版も好評だった『監獄学園』(講談社)が、深夜ドラマ『監獄学園-プリズンスクール-』として10月25日より(TBSでは10月27日より)スタートする。本番組のオープニングテーマを担当するのはダンスミュージック×ロックを融合させ、海外でも人気のある実力派バンド・HaKU。11月18日のリリースを控え、彼らにとって初めてのドラマタイアップシングルとなる本ドラマと原作コミックへの想いを、作詞作曲を担当するボーカルの辻村有記とギターを担当する藤木寛茂に聞いてみた。

―― 曲を作るにあたり、原作コミックを読まれたかと思います。印象はいかがでしたか?
辻村 「これを実写化するの?」という感じですね(笑)。「これを本気でやるんですか?」って二度聞きしました。それくらいの衝撃を受けましたね。あと、読み進めていくうちにエロだけじゃなくて切ないというか……そういうものも感じました。自分たちの学生時代を照らし合わせながら……まぁこんなことはなかったですけど(笑)。
藤木 あったら幸せすぎやろ(笑)。
辻村 でも、そういうものに通じるところもあるなって。男女間の触れ合いだったり、見たくても見れないものがあったり、触れたくても触れられなかったり……そういう男女間の葛藤みたいなものを感じましたね。学生時代のバイブル本になるんじゃないかっていうくらい素直に読めました。できることなら学生時代に出会いたかったマンガです。絵もすごく好きですね。
藤木 最初にコミックスをパラパラっとめくって見て、描写がちょっとエッチだなと感じたんですよ。僕も男だから興味がわくんです(笑)。物語はエッチとコメディがいい具合にマッチングしていて、主人公と各キャラクターが本気で動いているのがいい感じにコメディとして落とし込まれているなぁと思いました。それで「これめっちゃおもろいやん!」って。最初はエッチな感じなのかなって思っていたんですけど、それは違うな……と。このエロさが、面白さの部分に繋がっていますから、これはすごいなって。レコーディングで有記が歌を録音している時は、無視してロビーで原作を読んでゲラゲラ笑っていました(笑)。
辻村 そんなこともありましたね(笑)。

―― 曲に落とし込むという作業の中で、どのようなアイデアがあったのでしょうか?
辻村 最初にエロっていうものがありました。でも、これをどうやって昇華していこうか……と。それで物語を自分なりにひも解いて入っていくうち、切なさという感情にキュンと来たんです。そのキュンしたものは恋だったり、人間の中で起こることだったりするのかなと思いました。その後、自分の学生時代を振り返ってみたりしたら、意外とすんなり出てきたんです。結局、ガッツリ触れられない、でも触れたいという、いい具合の距離感を描写しているんじゃないかなと思って、それを曲に落とし込めたら……と。その先を見てみたいと思ってもらえるような曲にしたいと思って書きました。
藤木 歌詞の内容はキヨシと千代ちゃんに描写を当てているんですね。サウンドはセクシーなので、突き刺さるような感じに落とし込めれば、というイメージはありました。
―― 今回、初めてのタイアップシングルとなりました。そこで苦労したところなどがあれば教えてください。
辻村 現実的な話になってしまいますが「30秒の尺でやりましょう」という話になった時に、30秒だったらどういうテンポでダンスミュージックをやれば1コーラスフルで入るのか、と考えるんです。これはだいたいですがBPM143(※beats per minuteの略で1分間あたりに刻む拍数を示した単位。143BPMという数字は、かなり速い部類)くらいになるんですね。ですから、このBPM143のスピードで30秒のダンスミュージックでやろう、というところからスタートしました。1コーラス聞いてもらって、作品に入りこんでいただけるほうがいいと思うので、そこは徹底的に考えています。何パターンも考えましたね。あとはツインボーカルもやりたかったので、そこを考えながら何パターンも書いて、色んな人に聞かせて意見を聞いたりもしました。結果、1番耳に残るフレーズ、歌いやすいものをチョイスしています。
藤木 結構、いろんなサビのメロディーがあったよね。
辻村 やってみた結果、今までやっていたことの延長線上のような気がしました。常日頃、心がけているのが「耳に残る」ということ、「メロディーがループする」「キャッチーさ」が心がけている部分なんです。それをもっと具体的に落とし込んでいくというか……今までの延長上の作業だなと感じました。

―― まだシングルは発売されていませんが、ライブでは披露されたそうですね。
辻村 これが評判よかったんですよ!
藤木 まさに狙い通りという感じです。
辻村 新曲をやるとお客さんは「規則正しくちゃんと聞く」って感じが多いんですけど『衝動』はノリもよかったです。
藤木 他の曲を聴いたそのままのテンションできてくれたって印象ですね。
辻村 ティザーを流していたからかもしれませんけど……でも30秒ですもんね。だから曲の全貌はまだ知らなかった人たちが多い中、わかりやすくダンスミュージックというものをソリッドに作れた手応えを感じましたね。
―― 耳に残るメロディーですし、本作の『衝動』は「HaKU入門編」にもってこいですね。
辻村 今回の曲シングルはバンドの入り口を広げるものだと思っています。ドラマはいろいろな人たちが見るものだと思いますし、素直に、自分たちにとっても色々な方に聞いてもらえるチャンスですよね。
藤木 この曲はリフも覚えやすい部分だと思います。「“衝動”きた!」っていうくらい覚えやすいですよ。シンセなど鳴っているメロディーが多いので、そういう音に対してアプローチするのに、昔はエフェクターでギュインギュインやるのをどこでどう落とし込むか、みたいなのを考えていたんですよ。あえて弾かないとか、シンプルにしてみようとか。今は周りの音を聞いてフレーズを作っていく、という作業をしているんです。あまりやりすぎてもグチャグチャになってしまいますからね。聞いてくれる人も曲に入りづらくなってしまうと思うので、今は覚えやすくなるような音フレーズを考えています。
―― 今日はこの場にいないベース(三好春奈)とドラム(長谷川真也)のお二人についてはいかがでしょうか?
辻村 がんばってくれていると思います(笑)。昔からダンスミュージックを基本にやっていましたが、最初は今より全然出来なかったんです。でも8年ずっとライブでもレコーディングでも4つ打ちをやり続けてきたんですよ。今いいグルーヴ感が出ていると思います。今は驚かされることもありますね。
藤木 リズム隊も話し合ってますよね。
辻村 2人でせめぎあっている感じがしますね。

―― そんな4人で作り上げたシングル「衝動」の初回限定版のジャケットは、原作者の平本先生描きおろしなんですよね。
辻村 「やったぜ!」みたいな感じですね。
藤木 原作単行本の表紙みたいな感じなんですよ。単行本で「001」とか、巻数が書かれている部分が「HaKU」となっているという。絵もデザインも上手にやっていただいたので、これは本当にうれしかったです。
辻村 この世に1つしかないものってうれしいですよね。自分の作品が投影されて、一緒になって混じり合えて、1つの作品として作り上げてもらったのはうれしいことです。
藤木 これを描いていただいたことで原作やアニメのファンの方々も手に取りやすくなったと思います。聞いてくれる機会も増えるでしょうから、これはありがたいなって感じていますね。
<後編に続く>


■HaKU公式サイト
http://www.haku-music.net/

■HaKU「衝動」Release Party ワンマンライブ
11/18(水)@OSAKA MUSE
11/24(火)@代官山LOOP

■『衝動』
15年11月18日発売
(15年10月28日先行配信予定)
【初回限定・監獄学園盤】CD+DVD/UPCH-7074/1,600円(税抜)
※「監獄学園」原作者・平本アキラ先生描き下ろしイラストジャケット仕様
※初回盤DVD:“「衝動」Music Video Making Film”収録
【通常盤】CD/UPCH-5860/1,000円(税抜)

■ドラマ『監獄学園-プリズンスクール-』公式サイト
http://www.tbs.co.jp/program/mbs_prison-school.html