親世代は、子どもに「お墓の管理」を期待している?
少子高齢化が叫ばれて久しく、「エンディングノート」や「終活」も話題として定着した昨今。親がまだ健在な30~40代でも安穏とはしていられず、両親の老後生活の充実はもちろんのこと、亡くなったあとの希望までしっかり叶えてあげられるよう、今からしっかり考えておきたいところです。
そんななか、今年10月に実施されたインターネットアンケート調査(東京都内在住で、両親が存命の30~40代・男女各50人が対象/MediaShakers調べ)によると、「葬式やお墓など、親が『死んだらどうしてほしいか』について、親と会話をしたことがありますか?」との質問に、「ない」と答えた人が56%と過半数。「具体的な話をしたことがある」は13%にとどまり、きちんとコミュニケーションが取れていないことがわかりました。
「死後」というデリケートな問題ゆえに、「まあ、いずれ」と先延ばしになってしまいがちですが、“孝行のしたい時分に親はなし”。そのときに心安らかに旅立てるよう、元気なうちにしっかり話し合っておきたいものですが、そもそも親世代は具体的に何を心配しているのでしょうか?
同じくインターネット調査(2015年10月実施/東京都内在住で、子どもがいる60~70代・男女各50人が対象/MediaShakers調べ)を見てみると、「自分の死後に、子どもに面倒を見てもらいたいことはありますか?(複数回答)」という質問で「自分の遺した家・会社などの管理」(32%)を抑えて1位になったのは、「お墓の管理」(35%)。
「死んだ後のことは任せるから」「お前たちの都合のいいように」など、子どもの生活を第一に考えてくれる親御さんも少なくないと思いますが、家族の絆を未来につないでいく場でもあるお墓をきちんと管理してほしい…というのは、偽らざるホンネでしょう。
大切なのは「管理体制」と「立地」
そこで、アンケートをさらに詳しく見ていくと、30~40代の男女が、親のお墓を選ぶ際に重視するのものとして、「費用」という現実的な問題が76%で1位に。そして、2位には「アクセス環境」(63%)、3位は「管理体制」(42%)がランクインしています。
一方、親世代が気にかけているポイントは、「お子様たちが手間なく管理できる」(60%)、「お子様や親戚が気軽に訪問できる立地のよさ」(41%)がワンツーフィニッシュ。「管理体制」と「立地」が共通して関心を集めていることがわかりました。
考えてみると当然というべきか、「家族も親戚もなかなか足を運べない立地で、管理も行き届かず雑草が顔を覗かせている」というお墓では、親子ともに寂しい思いをするのは確実。「子」という立場からすると、想像するだけで申し訳ない気分になってしまいます。前向きな気持ちで、両親とともに「お墓の下見」に行くことができたら…と思ったり。
話題の「自動搬送式納骨堂」に潜入!
話題の「自動搬送式納骨堂」とは?
先祖代々の由緒あるお墓、景色がいい霊園など、さまざまな選択肢があると思いますが、最近話題になっているのは、アクセスのいい都市部にあることが多い「自動搬送式納骨堂」。
まるで立体駐車場のように骨壷が保管され、手入れ不要で省スペース、一般的なお墓より安価ということもあって、利用者が増えているようです。
ちなみに、そうした新たな納骨堂をプロデュースする日本霊廟株式会社によれば、東京都内のお墓の平均価格は、永代使用料と合わせて約257万円(全国平均だと約196万円)で、自動搬送式納骨堂の相場は100万円前後だそう。
「立体駐車場」という言葉だけ聞くと無機質なイメージかもしれませんが、実際にこうした形式で運営されている都内のお墓を利用している知人(50代男性)に聞いてみると、「便利なのはもちろん、衛生的で明るい環境が気に入っています。ちょくちょく足も運べるし、眠っている父も寂しくないと思う」とのこと。
お父さんの故郷である四国に家のお墓はあるものの、東京に出てきて長く、親戚や友人も関東に多いため、生前から検討し始めたのだとか。「マンション型のお墓」と表現されることもありますが、いったいどんな建物なのか?
ということで、東京都品川区の不動前駅近くにある『ひかり陵苑』さんに館内を紹介してもらうと、見ての通り、確かに清潔感のあるモダンな空間。ICカードを入口でかざし受付をすると、遺骨箱が参拝スペースに自動で運ばれてくるため手間なく参拝ができる最新の施設です。
納骨堂を運営しているのは「臥龍山安養院」という寺院で、なんと1000年以上の歴史を持っているそう。歴史ある寺院が最先端のお墓を運営していることに少し驚きますが、檀家入りしなくても永代供養をしてくれ、さらに全館バリアフリーで車いすでも快適に移動できるなど、現代人のニーズに応えています。
外墓地と違い、天候に左右されず落ち着いて参拝できるのも、日々忙しい働き盛り世代にはうれしいところ。
立派なお墓を建てるのも親孝行かもしれませんが、都市部の「墓地不足」が問題化するなかで、ある意味ではより“実益”のある、スマートな「自動搬送式納骨堂」に人生の終着点を定めておくのも、安心して余生を過ごす助けになるかも。“縁起でもない”なんて言わずに、一度ご家族で話し合ってみてはいかがでしょう?