シャボン玉の海に酔うアートプロジェクト
幻想的! 無数のシャボン玉が美しすぎる千住「Memorial Rebirth」をもっと見る【写真20枚】
市民参加型のアートプロジェクトを通じ、足立区に新しいコミュニケーションを生み出すまちなかアートプロジェクト『アートアクセスあだち 音まち千住の縁』。そのプロジェクトの一環として「Memorial Rebirth 千住 2015 足立市場」が行われました。
無数のシャボン玉で見慣れた景色を変貌させるアートパフォーマンス「Memorial Rebirth」、通称「メモリバ」は、現代美術家・大巻伸嗣さんの作品です。千住では2012年からスタートし、毎年場所を変えながら行われています。今年の舞台は足立市場で、昼と夜の2部構成です。
会場内は屋根のある「おどりエリア」と「屋台エリア」、そして屋外の「シャボン玉エリア」に分かれています。到着すると、すでに「装いづくりワークショップ」が行われていました。
反物や古着を使って、アクセサリーや衣装をつくります。針や糸を使わないので、とても簡単です。
髪飾りとして頭につけたり、胸元やカバンにつけたり……。みなさん思い思いの場所につけて着飾っていました。
爽やかに舞うシャボンとご当地グルメに大満足の昼の部
カラフルな衣装でシャボン玉とダンス!
昼の部「しゃボンおどり、色彩をまとって泳ぐ」
そろそろ始まるかな? と思っていたら、突然ターレット(市場などで走り回っている、小さなトラック)乗って大巻伸嗣さんが登場。うしろにはシャボン玉を作り出す機械が乗っています。
しゃボンおどりがスタート。東京藝大出身のアーティストユニット「くるくるチャーミー」と地元の日本舞踊の先生との振り付けによる、オリジナルの盆踊りです。
“ふわりふわり ほらきえないで
きらりきらり きみにふってくる
あそぼあそぼ ほらみていてね
ひかる 負けずぎらい つかまえて(ほい)”
どこか切なさも感じさせるやわらかい歌詞は、メモリバの企画・運営を支える有志ボランティア「大巻チーム」と、演出家の阿部初美さんによるもの。歌と演奏に合わせ、大人も子ども一緒に踊っていました。
機械からはシャボン玉が放たれ、踊りを盛り上げます。
しゃボンおどりが終わると同時に、「シャボン玉エリア」にあるタワーから勢いよくシャボン玉が出てきました。子どもたちがいっせいに駆け寄ってきます。
空に昇っていく、無数のシャボン玉。お父さんの肩車に乗った子どもたちも、楽しそうに見つめています。
シャボン玉の機械や送風機をあやつる「大巻電機 K. K」は、小学生の父兄によるソフトボールチーム「千寿リーグ」と、東京電機大学の学生がともに活動しています。
空に浮かんで消えていくシャボン玉を見ていると、なんだかほっこりした気持ちになりました。
千住のご当地グルメにシャボンわたあめ!?
地域の方々による食べ物屋台エリア。すりみ揚げパンや千寿葱ピクルス、玉こんにゃくなどのメニューが並んでいました。
どれを食べようか迷ったあげく、千住魚河岸ねぎま鍋をいただきました。さかなのダシがきいています。(マグロではなく、メカジキのハラスが使われているそう)
ピンクとブルーのシャボンわたあめが子どもたちに大人気。20分待ちの行列ができていました。十数年ぶりに食べたわたあめの味はとてもやさしい甘さで、名前のとおりふわりとシャボン玉のように口の中で溶けていきました。
夜は一変…シャボンが織り成す幻想世界にうっとり
夜は一転。暗闇のなかできらめく無数の光
夜の部「半時の永遠、きらめきの流れにたゆたう」
18時からは夜の部がスタート。始まる前のライトアップからすでに、昼間とはまったく違う雰囲気が漂っています。
白い衣装を着たパフォーマーが登場。布が付いた長い棒を振りかざしています。シルクのような白い布に光が当たり、暗闇の中できらめき、たゆたいます。
中央のタワーからシャボン玉も放たれ、よりいっそう幻想的な雰囲気に。
音楽は、ピアノとコントラバスの生演奏。即興で奏でる音に合わせ、パフォーマーが右へ左へと動きまわっています。
空へ浮かんでいくシャボン玉。夜空に浮かび、下からの光に照らされたその姿は、まるで星のように美しく輝いています。
【動画 https://youtu.be/9HNeD5TJvZo 】
まちの人々と一緒に作り上げていくアート。
終演後、大巻伸嗣さんにお話をお伺いしました。
「今年はじめての試みもあったので、緊張しました。無事終わってホッとしています。演奏とパフォーマーはプロですが、ほかは地元の有志によって作り上げました。次はあと3年~5年かけて、市民の方々みんながパフォーマンスをして、自分たちでイベント全体を作り上げるようにもっていきたいですね」
無数のシャボン玉が浮かぶ空を見上げながら「Memorial Rebirth」の意味をあらためて深くかみしめていました。子どもたちも、大人も、きっとこの日見た情景を忘れることはないでしょう。
取材/村中貴士