「喫煙者には住みにくい世の中になった......」――そんな愚痴を、あちこちで耳にする。なにしろ店は次々と禁煙になり、非喫煙者からは「タバコ臭い」だのなんだの罵られ、今や自宅の敷地内で吸っていてさえ、「煙が流れてくる」と叱られるのだから。
もちろん、歩きタバコや吸い殻のポイ捨てなど、ルールが守れない喫煙者が非難されるのは当然のこと。だが喫煙者の話を聞くと、ルールやマナーをきちんと守って、身を縮めるようにしてタバコを吸っていても、なお追い打ちをかけるように、ほとんど理不尽としか思えないクレームを受けることがあるというのだ。
「タバコで台無しだ、モーニングの代金を払え!」愛知県のAさん(20代男性・会社員)はある日の午前中、地元の喫茶店に入った。
この喫茶店はタバコOK。Aさんも一応周りには気を付けつつ、ぷかーっと一服していたのだが......。
「ちょっと、何タバコなんか吸ってるの!」
いきなり怒鳴りつけてきたのは、別の席に座っていた中年女性のグループだ。彼女たちは名物の「モーニング」を食べつつ、だらだら長居しながら会話に花を咲かせていたのだが、どうやらAさんがタバコを吸っていることが許せないらしい。
呼びつけた店員さんの目の前で、さんざんAさんを罵倒した上、
「せっかくのモーニングが台無しよ! ここの代金払ってちょうだい!」
とまで言い出した。幸い、店員さんや周りのお客がとりなしてくれ、彼女たちは怒り心頭になりながらも去って行った。
にらみつけられて思わず逃げ出した確かに吸わない人間からすると、食事中に近くでタバコを吹かされるのは、あまり気持ちのいいものではない。だが禁煙席ならともかく喫煙OKのスペースで、おまけに「代金を払え」とまで来ると、いくらなんでも理不尽なクレーム、モンスタークレーマーならぬ「モンスター嫌煙者」と言っていいかもしれない。
Jタウンネットが調べてみると、ここまで極端でなくとも、似たような経験は少なからぬ人にあるようだ。たとえば埼玉県のBさん(50代男性・会社員)。駅前の喫煙スペースで一休みしながら煙草を吸っていると、近くを通りがかったこれまた中年女性2人組が、聞こえよがしの大声で、
「煙たいわねー」
「喫煙コーナーを、もっと遠くにしてくれないかしら」
などと言いつつ、Bさんの前に立ち止まり、「まるで犯罪者を見るような目つきで」(Bさん談)にらみつけてきたというのだ。あいにく喫煙コーナーには1人きり、気の弱いBさんはもうタバコどころではなく、
「怖くなり、タバコを消して慌てて立ち去りました......」店員さん、いくら嫌いだからと言って...
別に直接煙たい思いをしようがしまいが、嫌煙者の中にはタバコ、また喫煙者そのものに敵意を隠さない人もいる。岡山県のCさん(30代男性・会社員)が近所のコンビニでタバコを注文したところ、中国人らしい女性店員に露骨に嫌な顔をされたという。
「イラッとしながらも我慢していたんですが、店員はさらにドン!とその場にタバコを置いてレジ打ちを始めたんです。私が思わず『ちょっとさあ』と声を上げると、悪びれることなく『タバコ吸うヤツキライ』と言い返してきました」(Cさん)
さすがに腹が立ったCさんは買うのをやめて店を出ようとしたが、駆けつけてきた店長に謝られ、なんとか怒りを収めたという。もっとも、そのコンビニには二度と行かなかったそうだが。
東京都のDさん(20代男性・会社員)も似たような体験をした。小さなレストランで食事をした後、「灰皿ありますか?」と何気なく尋ねたのだが、とたんに愛想の良かった店主の表情が一変、露骨に嫌~な顔をして使い古しの灰皿を出されたという。
「そこまで嫌なら禁煙と言ってくれよ! 結局、1本だけ吸って店を後にしました」(Dさん)子どものために気を遣うのはわかるが
もちろん、嫌煙者にも理屈はある。特に、健康のことを持ち出されると、喫煙者の側にはぐうの音も出ない。とりわけ「子どもへの影響」については、最大限の配慮が必要になる。
もっとも、中には戸惑う体験をした人も――。
「親戚に娘さんが生まれました。生後3カ月のころ、家族と一緒に出産祝いを持って遊びに行ったのですが......」
というのは、秋田県のEさん(20代女性・会社員)。もちろん親戚宅ではタバコを控えていたのだが、いざ赤ちゃんとご対面――の直前、親戚から、
「タバコの臭いがする。服を着替えてほしい」
もちろん、着替えなど持っているわけがない。すると、「じゃあ赤ちゃんは見せられない」。結局Eさんははるばる出かけながら、赤ちゃんの顔を見ずに帰ったのだとか。
無茶苦茶な理屈の妊婦さんEさんのケースは、あくまで赤ちゃんの健康を心配しているのだから、親戚の対応も理解はできる。だが、福岡県のFさん(40代男性・自営業)の遭遇した女性は、まさに「モンスター嫌煙者」の領域だろう。
Fさんが彼女に遭遇したのは、大型ショッピングセンターの喫煙室でのことだ。家族の買い物を待ちがてら一服しようと部屋に入ったところ、中には若い夫婦らしい先客が。しかも見ると、女性は妊婦さんである。当人はタバコこそ吸っていないとはいえ、喫煙室に入るのはどうなのか――と思いながらFさんがタバコに火を点けると、つかつか近づいてきた彼女は一言。
「こっちは妊娠しているんだから、タバコ吸うのはやめてくれない?」
そんなこと言ったって、ここは喫煙室だし、一緒にいる男性だってぷかぷか吸ってるじゃないか――と反論したが、それへの返しが凄い。
「連れのタバコの煙は我慢できるけど、あなたのは我慢できないの」
もはや話が通じないと悟ったFさんは、さっさとタバコをもみ消して、喫煙室を後にした。
以上、6人の体験談を紹介した。もちろんここまで極端な事例は珍しいかもしれないが、それは過去にJタウンネットで紹介した「マナーの悪い喫煙者」の側でも同じだろう。お互い思いやりながら、うまいこと「共生」できるといいのだが――。
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