12月に開かれる、あるドイツ語セミナーが異例の反響を呼んでいます。その名も「中二病で学ぶドイツ語」。100年以上の歴史がある日本とドイツの交流団体、公益財団法人「日独協会」が企画しているセミナーです。ツイッターでは「習ってみたい」「絶対面白い」などと期待が高まっています。協会は急きょ、会場変更をして多くの参加者を募っています。
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ツイッターで瞬く間に拡散
話題になっているのは、12月4日に東海大学高輪キャンパス(東京都港区)で開かれる「中二病で学ぶドイツ語 さあ、はじめよう!狂乱の宴(ガイステスフェアヴィルングスフェストマール)を!」。
「文化セミナー『中二病で学ぶドイツ語』を12月4日(金)19時から行います。ドイツライター、伸井太一さんとアニメと漫画を愛するプロイセン人、カウフ職員と一緒に中二病的表現からドイツ語にアプローチしてみましょう!申込受付中」
このように、日独協会が公式ツイッターで告知をすると、700以上もリツイートされました。
ところで「中二病」とはネットスラングの一つです。思春期の中学生、特に中学2年生ごろの子どもたちが抱きがちな空想や妄想、さらに、格好付けた言い回しや振る舞いなどを揶揄した表現です。でも「中二病」とドイツ語がどう結びつくのでしょうか?
参加を呼びかけるサイト上にはこうあります。
「日本のサブカルチャーに登場する『カッコいいけれども少し妄想がかった』中二病的ドイツ語のヴォルト(単語)やザッツ(文)から、ドイチェ・ヴェルト(ドイツ語世界)に接近してみませんか?」
なんだかよく分からないので、日独協会に問い合わせをしてみました。
実は中二病に好まれているドイツ語
日独協会の担当者・菊池菜穂子さんは今回のセミナーについて、こう話しています。「今回お話いただく伸井太一先生によると、中二病的世界とされるマンガやゲームといった日本のサブカルチャーでは、実はドイツ語がもとになった言葉が多いそうなんです」。菊池さんによると、ドイツ語独特の響きが、サブカル好きの中二病的な人にとっては受けがいいのだそうです。
「何となく使われている中二病的な言葉が、日本でどういう傾向で使われ、本来はどういう意味を持つドイツ語なのかを知ってもらうことから、若い人にドイツ語に近づいてほしいと思っています」
壇上に立つのは東海大学の文学部講師・柳原伸洋さん。ペンネーム「伸井太一」でドイツのサブカルチャーや歴史についての著作が多数あります。第二幕にはプロイセン人の日独協会職員で、日本のアニメと漫画を愛するタベア・カウフ氏が登壇。「ドイツ語にしてほしい日本の中二病表現」を会場から募り、即座に答えて楽しんでもらうことにチャレンジするようです。
ホーエスシュトローザイルへ会場変更
当初の会場は30人ほどしか入れない協会のセミナールームでしたが、予想外にツイッターで反響があり、定員120人の大学講義室に変更。サイトでは「信濃町(シュタットデスティーフェングラウベンス)から、高輪(ホーエスシュトローザイル)へ!!」とノリノリです。
菊池さんは「こんなに話題になることは今までなかったので、びっくりしてます。お勉強というよりも楽しんでほしいです」と話しています。