韓国で、ある写真集が論争の的になっている。写真集のタイトルは『Girls少女たち』。タイトル通り、9人の美少女モデルたちによって構成されたオムニバス写真集なのだが、10月5日の発売開始とともに飛ぶように売れ、大型書店チェーン「教保文庫」では発売第1週目で総合ランキング7位に入り、ジャンル別部門では堂々の1位。品切れ店が続出し、インターネット転売サイトでは一時、プレミアがついたという。韓国の中堅出版社関係者は語る。
「出版社は増刷を繰り返しましたが、それでも追いつかなかったようです。もともと版元がインディーズ系の小さな出版社ということもありますが、韓国の出版界で写真集が品切れしたり、転売されるのは異常中の異例。その人気を目の当たりにした大手出版社がこぞって著者に接触し、早くも次回作を打診しているほどです」
渦中の著者は“Rotta”氏。韓国ロックミュージック界の伝説的アーティスト、ソ・テジをはじめ、人気ミュージシャンのステージカメラマンを務めた経歴を持つが、写真家としてはさほど有名ではなかった。ところが、10月中旬に開かれた『Girls少女たち』の写真展には、多くのファンが殺到。男性だけではなく、女性たちも会場に駆けつけ、一躍時の人となっている。
「会場に訪れたのは、ほとんどが20~30代のオドック(日本の“オタク”を韓国風に発音した造語)でした。韓国では近年、日本のサブカルチャーに熱狂するオドックたちが急激に増えていますが、Rotta氏の写真は彼らのツボに見事にハマったようです。ネット上には『韓国にも、ついにロリ系美少女が認知される時代が来た!!』『Rotta氏、ありがとう』といったコメントが殺到しています」(同)
だが、その一方で『Girls少女たち』とRotta氏は厳しい批判にもさられている。その作風は“ロリコンの極み”だと決め付けられ、「屈折した児童性愛者の悪質表現」とも非難されているのだ。とある女性団体は、異常な児童性愛を助長するとして出版差し止めを求め、Rotta氏はロリコンであり、そのペンネームも「ロリータ」を語源にしていると指摘。Rotta氏は、自身のSNSで「私の表現方式は少年漫画に登場しそうな女性たちを実写化しただけ。ロリータ嗜好ではない」と否定したが、騒動は収まらない。Rotta氏の友人で、人気作家兼タレントのキム・プンも、自身のSNSに『Girls少女たち』写真展に出向いた時の写真をアップしただけでロリコン疑惑をかけられるほど。「私はロリコンでないが、この写真でロリコンを連想する人がいるため削除する。申し訳ありませんでした」と、謝罪せざるを得ない状況にまで至った。
道徳的にロリコンをタブー視する韓国。その社会観念に基づいて、『Girls少女たち』とRotta氏は魔女狩りの対象にもなってしまっているわけだが、前述した通り、日本のサブカルを愛する韓国のオタクたちの間では熱烈な支持を受けている。果たして、写真集とRotta氏はロリコン不毛の地・韓国に、ロリ系美少女という新ジャンルを根付かせることになるか? その行方が気になるところだ。