日本企業が宇宙への輸送サービスの第一歩を踏み出しました。
本日20時17分、種子島宇宙センターから打ち上げられたH-IIAロケット29号機に搭載された通信衛星「Telstar 12 VANTAGE」の分離が成功しました(トップ写真はロケット搭載のカメラから送られた分離の瞬間です)。今回のミッションの発注元はカナダの衛星通信事業者Telesat(テレサット)で受注企業は三菱重工です。
H-IIAロケット29号機はロケットのエンジン性能と機体の熱制御力を向上させることで、長時間の飛行ができるようになりました。それによって、高度・角度共にこれまでよりも静止軌道に近い軌道にロケットを投入させることができました。ロケットから切り離される衛星は消費エネルギーを温存できているので、静止軌道に乗ってからも長い期間使うことができるんです。
また、他の用事のついでに乗せるのではなく、商用目的の衛星だけを運搬する打ち上げを日本が行うのは今回が初めて。打ち上げから分離まで約4時間半のデリバリーを成功させたことで、宇宙への輸送サービスビジネスに向けた第一歩を踏み出すことができました。
衛星の輸送市場は年々激化していますが、H-IIAロケットの打上げ成功率は96.6%、オンタイム打ち上げ率は94.1%(2位が欧州宇宙機関のアリアン5で74.1%)と、トップクラスの信頼を誇っています。日本の交通や輸送が時間に正確なのは世界的に有名ですが、これからは宇宙でも時間の正確さが武器になるかもしれませんね。
(高橋ミレイ)