メンテのために上まで登るには30分かかっちゃいますけどね。
2万7000人のメンバーを持つ世界最大の技術者団体、Institution for Structural Engineers(構造技術者機構)が選ぶ、今年最高の構造工学設計に選ばれたのは、世界最大のドーム構造物。以前ギズモードジャパンでもご紹介したことのある、シンガポールにあるスタジアム「Singapore Sports Hub」です。
Institution for Structural Engineersが毎年選出する「Supreme Award for Structural Engineering Excellence」に選ばれたこのスタジアムはDP Architects、AECOM、Arupによってデザインされています。見た目や人気で選ばれるのではなく、その道の専門家の視点で選出されたのがこのドームだというのも興味深いですね。
Image via DP Architects
これがSports Hubを上から見たところ。この巨大なスタジアムは、端から端まで約310メートルもある世界最大のドーム型構造物です。
ちなみに、世界で2番目に大きなドームはダラス・カウボーイのホームスタジアムである、米テキサスのAT&Tスタジアムで、Sports Hubと比べると30メートル幅が小さいドームです。パンテオンと比べれば約270メートル幅広い…なんていっても想像しづらいので、Sports Hubのドームの上で人が作業するところを見てみましょう。
人が蟻とかミジンコとかに見える規模ですね。天井部分は特に「人類の素晴らしい発明」とデザイナーたちに言わせしめたエンジニアリングの極みとなっています。
4,000人の作業員たちが完成まで45カ月をかけて、そしてそのほとんどが地上より高い位置で作業を行い完成させたSports Hub。そのドームは2つの構造から成り立っています。ひとつは9,000トンの鋼板製の上部建造物で、これは一般的な固定された屋根部分です。
鋼の骨組みの上にのっかっているのは、レールに取り付けられ2つに分かれた軽量の上部建造物。なおこの屋根には2万個のLEDが組み込まれており、巨大スクリーンとしても機能させることが可能です。
十字に交差しているレールは巨大な線路のようなもので、建物に完全に固定されています。これによりきっかり20分で開閉屋根部分を閉じられるようになっています。
屋根のさまざまな機能を管理運営するには大勢の人が必要です。屋根のマネージング・デザイナー、Stanley Cheahさんによれば、地上から約79mの高さの屋根まで上るには30分かかるそうです。
熱帯地域であるシンガポール、スタジアムはさまざまな気候に対応できなければなりません。雨が降り始めればものの数分で対応に取り掛かることができます。
ドーム構造のデザインもシンガポールの暑い気候に対応できるようデザインされています。地下構造にはパイプによる水冷システムが存在し、シートの下のベントから冷たい空気を送りだします。
スタジアムの屋根が動くのも見ていて面白いですが、内部だって負けていません。さまざまなスポーツに対応できるよう、スタジアム内のシートも油圧リフトで動かせちゃいます。
シンガポールに行った時にはぜひ間近で見てみたいですね。
source: Supreme Award for Structural Engineering Excellence; h/tArchDaily
Image by Lead GIF via Tapio Snellman on Vimeo. All other GIFs via Arup on YouTube.
Kelsey Campbell-Dollaghan - Gizmodo US[原文]
(abcxyz)