ノロウイルスの流行シーズン。感染には十分気を付けたいものだが、実は毎日利用するトイレが感染経路となり得ることをご存じだろうか。
「教えて!goo」の「トイレでのノロウイルス感染について」という質問には、
■フタをしないと、さらに感染が拡大?
東京サラヤ株式会社食品衛生学術室室長・村松寿代さんによると、
「糞便や嘔吐物に接する場所であるトイレは、ノロウイルスの汚染が起こりやすい場所です。ノロウイルスは人の口から入り、お腹の中(小腸)で感染して増えるので、感染者の糞便や嘔吐物の中にノロウイルスが大量に排出されます」(松村さん)
とのこと。実際に、ノロウイルスによる食中毒が起きた施設のトイレを調査すると、便座やドアノブ、手洗い水道栓など、トイレのあらゆるところからノロウイルスの遺伝子が検出されたという報告があるそうだ。
「感染者が使用した後のトイレが汚染源となって、食中毒や集団感染が起きたと考えられる事例が発生しています。ノロウイルスは非常に小さくて人の目では見ることができません。いくらトイレがきれいに見えていてもノロウイルスが潜んでいる可能性があります。トイレを使用した時に、気づかずにノロウイルスが手指に付着して食品や環境を汚染し、他の人を感染させたり、自分が感染してしまったりする危険性があるため、トイレ使用後は必ず手洗いをしましょう」(松村さん)
また、感染者はトイレ使用後に必ずフタをして流すことが重要だ。
「水を流した時に水の微粒子が舞い上がったり、流した後に空気が逆流したりする時に、糞便や嘔吐物中にノロウイルスが含まれていれば、トイレ内にウイルスが飛散してしまう可能性があります。ノロウイルスはごく少量(10~100個程度)が口に入ると感染するとされています。できる限り汚染を防ぐためには、トイレのフタを閉めて水を流すことが推奨されています。また、フタの内側は汚染しているとみなし、消毒しましょう」(松村さん)
ノロウイルスが飛散しているトイレ内に一歩入っただけで、感染してしまう可能性も……。家族がノロウイルスに感染してしまった場合は、まめにトイレの消毒を心がけよう。また、誰が利用しているか分からない公共のトイレでは、手洗い・消毒はもちろん、場合によってはマスクを利用することをおすすめする。
●専門家プロフィール:サラヤ株式会社
教えて!goo スタッフ(Oshiete Staff)