中国メディアの環球網は23日、「米メディアは中国がSu-35の購入が脅威になるかどうか疑問視。ただし、J-20よりもずっと重要」と題する記事を発表した。同記事は国外における論評を総合し、「中国はSu-35購入を自国の技術力向上に役立てることはできない」、「しかし同機の購入はJ-20の保有より中国にとって大きな意味を持つ」などの見方を紹介した。
「中国がSu-35を購入したい意向」との情報が伝わった時、多くの人の頭をよぎったのが、中国がロシアから購入し、1998年に締結した契約にもとづきライセンス生産も始めた「Su-27」を無許可で改良し、「J-11B(殲-11B)、「J-15」など、さまざまな戦闘機を登場させたことだ。
「裏切り行為」があったのだから、ロシア側が中国を“出禁”にしてもおかしくはなかったが、ロシアの軍需産業には「資金が必要」との事情があった。
そのため、航空分野に限っても、ロシアは中国にジェットエンジン(ターボファンエンジン)を売り続けた。中国の航空エンジン開発は難航したので、ロシアからのエンジン供給がストップしてたなら、中国の航空兵力は早々に“失速”していたというのが、自然な見方だ。
Su-35購入の契約は最終的にまとまったが、中国側の購入機数が24機と、「中途半端に少ない」ことも注目された。
環球網の23日付記事は、「中国はSu-35に搭載されるエンジン『Al-41F1S』を研究して、J-20(殲-20)に役立てる」との見方を紹介。さらに、Su-27の改良型として自国が開発した「J-11D」とSu-35の性能を比較するとの説もあるという。
西側諸国にとっての懸案は、Su-35を入手したことで、中国がどの程度、戦闘機関連の技術を向上させられるかだろう。環球網記事は「中国にSu-35に込められた技術を自らのものにする能力はない」との主張を紹介。最もよい例は、中国はSu-27やSu-30が搭載するAl-31エンジンを入手した上で、技術を導入しようと20年以上にわたり研究を続けてきたが、いまだに「国産の構成異能ジェットファンエンジンの開発については『奮闘中』の状態が続いていることという。
ただし、Su-35はロシアにとってSu-27シリーズの「最終版」であることから、多くの戦闘機がSu-27の「自家改良版」である中国にとって、Su-35の入手はステルス戦闘機のJ-20の完成よりも大きな意味を持つとの見方もあるという。(編集担当:如月隼人)(イメージ写真提供:(C)Igor Dolgov/123RF.COM)