【パリ時事】パリ同時テロの首謀者とされるアブデルハミド・アバウド容疑者(死亡)が、テロ2カ月前の9月に欧州への難民に紛れて欧州域内に入った、と生前話していたことが明らかになった。フランス誌バルール・アクチュエルが27日までに、同容疑者の事件後の潜伏場所を通報した重要参考人の供述調書内容として伝えた。
これまでの捜査では、同時テロ実行犯のうちアバウド容疑者を除く少なくとも2人はシリアからの難民に偽装し、ギリシャを通過して欧州に入り込んだ疑いが強まっている。
供述によると、アバウド容疑者はテロ実行後、パリ郊外サンドニのアパートで一緒になったいとこの女、アスナ・アイトブラセン容疑者(死亡)に5000ユーロ(約65万円)を渡し、スーツ2着と靴2足の調達を依頼。「(同時テロは)大したことなかった。ユダヤ人に近い場所でもっとひどいことが起きる」「俺たちはどこにでもいる」などと新たなテロ攻撃の意思を示した。
アイトブラセン容疑者が、なぜシリアからフランスに来たのかアバウド容疑者に尋ねると、「実行犯たちがちゅうちょしないようにするためだ」などと説明。同じイスラム教徒がテロに巻き込まれることには「やつらが善良なイスラム教徒だと保証できるのか」と気に掛けない様子だったという。
重要参考人はまた、事件後ベルギーに逃走し、行方が分からなくなっているサラ・アブデスラム容疑者と、アバウド容疑者が電話で話したと証言。アバウド容疑者はサラ容疑者からシリアで安全な状況にあると伝えられたようだったという。