基地局の林、電波の天の川。
我々の携帯電話の電波は基地局から来ているし、地図アプリではGPS衛星、家で動画を見るときはWi-Fiルータを使っています。そんな電波は目には見えませんが、可視化してみるととってもきれいなんです。
今年夏、オランダのアーティスト、Richard Vijgenさんが「Architecture of Radio」(直訳:無線の構造)と題するAR(拡張現実)アプリを発表しました。このアプリは、基地局や衛星について公開されたデータベースを元に、任意の空間を飛んでいる電波や信号を可視化しています。今までは一般向けにリリースされていませんでしたが、ついに11月から、iOSアプリとして手に入るようになったんです。日本のApp Storeにも入っていて、価格は360円です。
アプリを立ち上げるとコバルトブルーの画面が現れ、そこにGPS衛星や携帯電話基地局、飛んでいる衛星が描き出されます。情報は360度で表現されるので、iPhoneやiPadを向けた方向に何があるか、X線のゴーグルみたいな感じでわかります。
たとえば訳者がいる部屋で右上にiPhoneを向けると、下のような画像が表示されます。衛星が連なるように30機くらい並んでいて、その後ろの方には電波の天の川みたいなものが見えます。その下の方、部屋から1.5kmくらい先には基地局が林のように固まっていて、あの街のあたりかな、なんてことが想像できます。
衛星や基地局が表示される横には、それが通信衛星だとか、どの携帯キャリアの基地局だとか、データベースで公開された情報が表示されています。データベースには、世界中で「携帯電話基地局700万ヵ所、Wi-Fiルータ1900万台、衛星数百機」が登録されているそうです。
とはいえ、このアプリには「測定ツールではない」というただし書きがついています。つまり、画面上に描かれる波形や点は公開されたデータを表現しただけのもので、たとえば「Wi-Fiの電波状態を良くするためにソファの位置をどこにすればいいか」を判断したりのためには使えません。でも元データはあくまでリアルなので、人によってはこんなに電波が飛んでいるなんてちょっと怖いと思うかもしれません。
これを作ったVijgenさんも、「多くの人が信号の密度に驚いていますが、中には怖がる人もいるし、逆に美しいと思う人もいます」と語っています。気になる方はぜひこちらでダウンロードしてみてください。何に使うってわけじゃないけど、見えないものが見えるって素敵な感じです。
source: Richard Vijgen
Kelsey Campbell-Dollaghan-Gizmodo US[原文]
(miho)