政府が低所得の年金受給者に対し、1人あたり3万円の給付金を配る方針であることが判明し、これが議論を呼んでいる。
この方針は、安倍晋三首相が掲げる「新3本の矢」の1つ、「名目GDP(国内総生産)600兆円」の実現のために実施される緊急経済対策の一環として行われるもの。安倍首相は11月初め、600兆円実現のため、関係閣僚に対して緊急経済対策をまとめるよう指示しており、給付金のほか、最低賃金の引き上げ、エコカーや省エネ住宅の購入費用の軽減措置などが、2015年度補正予算案に組み込まれる予定だという。
経済対策として、国民に対し給付金が配られるのは、今回が初めてではない。小渕内閣時の1999年には、子どもおよび高齢者を対象に1人あたり2万円の「地域振興券」が配られたほか、2009年には麻生内閣が「定額給付金」(1人あたり1万2000円、子どもと高齢者は2万円)を実施。こうした施策は、経済効果を認める声もあるものの、「バラまき」との批判も少なくない。
それゆえ今回の給付金案に対しても、ネットユーザーからは厳しい声が寄せられている。ツイッターには、
「この層に支給するなら、消費税をなくすほうが効果的では。年間40万円以上購入しているなら、年間3万円支給以上の効果がありますから」
と、効果を疑問視する声が相次ぎ、
「年金を削減しながら、無意味な一時金を給付。参院選前の典型的バラマキ。ふざけるな」
など、「来年の参院選に向けた票集め」との批判も殺到している。そもそもツイッターユーザーには、今回の給付対象となる高齢者が非常に少ないことは想像に難くないが、給付金配布に賛成するはほぼ皆無。今月中にまとめられる予定の緊急経済対策が発表された折には、改めて給付金の是非が厳しく問われることになりそうだ。
※当記事は2015年11月27日に掲載されたものであり、掲載内容はその時点の情報です。時間の経過と共に情報が変化していることもあります。