Numero TOKYO
オーロラや日食、隕石の落下など、当時はほとんど描かれることのなかった神秘的な天体現象を、ルネサンス期のイタリア絵画に見られるような様式や技法で写し出してみる。あるいは、中世ヨーロッパを感じさせる伝統的な世界観に、金屏風や能面など日本古来の表現からインスパイアされたモチーフを描き加えてみる。”近世と未来”、”西洋と東洋”、そして ”フィクションと真実”…… 感じたことのないような “心地よい違和感” を生み出す新進の若手、世界が注目するローラン・グラッソの個展が、銀座メゾンエルメス フォーラムにて開催されている。

 フランス在住の最も革新的なアーティストに与えられる賞『マルセル・デュシャン賞』を受賞し、いまや世界各国で個展が開催されているグラッソが、日本初の本格的な個展となる本展につけたタイトルが『Soleil Noir(ソレイユ・ノワール/黒い太陽)』だ。本展にて彼は、絵画に描いた神秘的な出来事や超常現象をさらに、大理石、鏡、ネオン、映像などあらゆるメディアに展開。時空間を超えてイメージを何度も再構築させ、いくつもの謎を問いかけている。過去・現在・未来が混在する多義的な作品は、私たちを取り巻く世界に “違った見え方” を示してくれるはず。科学と神秘のつながりを詩的に描いた独自の世界観に、全身で浸ってみてはいかがだろう。

 「Soleil Noir」ローラン・グラッソ展


会期/2015年11月11日(水)〜 2016年1月31日(日)
会場/銀座メゾンエルメス フォーラム 東京都中央区銀座5-4-1 8階
時間/11:00〜20:00(日曜日は19:00まで)* 最終入場:閉館30分前
休館日/不定休(年末年始はエルメス銀座店の営業時間に準ずる)
TEL/03-3569-3300
WEB/www.maisonhermes.jp/ginza/gallery/Studies into the Past ©Laurent Grasso / ADAGP, Paris, 2015Text: Kahlua Tsunoda