2014年版の『自殺対策白書』によると、日本の若者の死因の1位はなんと自殺なのです。これは先進国の中でも異常なほど高い数字で、マスコミでも大きく報じられました。
世界一有名な町工場のおじさん・植松努さんの「いじめ論」に考えさせられる
子どもの自殺と言えば、「イジメ」での自殺がニュースで取り上げられることが多いので、私達は、自殺の原因の多くは「イジメ」ではないかと思いがちです。
でも、実際は「親子関係の不和」「親の躾・叱責」「学業不振」による自殺の方が多いのです。
今日は『グローバル社会に生きる子どものための-6歳までに身に付けさせたい-しつけと習慣』の著者で、日本と欧米の優れた点を取り入れたしつけを提唱している平川裕貴が、この問題について語りたいと思います。
なぜ子どもが自殺をするのでしょうか?
子どもが自殺する原因はいくつも考えられますが、今回は、ポイントを3つに絞って述べてみたいと思います。
宗教観の違い
まず日本で自殺が多く、欧米で少ないのには宗教観の違いがあります。
キリスト教では、自殺は罪深い行為とされており、社会の中のそういう認識が、自殺にブレーキをかけているのではと思います。
自殺が罪深いと思っている欧米の子ども達は、そう簡単に死を選ばないでしょう。
一方、仏教では自殺を否定していません。
「赤穂浪士」の浅野内匠頭の切腹を筆頭に、日本では自死を悲劇的に美しく描くことが多いですね。「死んでお詫びする」とか「潔い死」などと、基本的に死を受け入れたり、死を美化する傾向があります。
そういう文化的背景で育った日本の子ども達は、実行に移すかどうかは別として、簡単に「死んでやる!」と思いがちなのです。
流行りの子育てが発端にもなる
精神的な打たれ“弱さ”
筆者が最近とても気になっていることは、「褒める子育て」や「叱らない子育て」、「子どもを傷つける言葉」や「言ってはならないNGワード」などの情報があふれかえっていて、親が子どもを真剣に叱ったり、我慢させることが少なくなっているのではないかということです。
乳幼児期に穏やかで優しい言葉しかかけられなかった子どもが、小学校へ行き始めて、成績という形で評価が表に現れた途端、親から学業成績について叱責され始めます。
幼児期に精神的な強さが身に付いていない子どもは、容易に我慢の限界を超えてしまうのです。
学業成績のみで判断される教育
日本では、学業成績だけで、勝ち組や負け組と評価されてしまいます。
勉強以外の能力を評価されることはほとんどありません。それは親も同じで、子どもの能力や特性などには見向きもせず、ひたすら周りと同じように進むことを求め、落ちこぼれるなとプレッシャーをかけ始めるのです。
頑張っても頑張っても、できない点ばかりを指摘され、学校のみならず家庭でも、気持ちの安らぎを持つことができません。
良好な親子関係を築くために
まずは、死を美化されがちな日本の文化的な背景を頭に入れておきましょう。
そのうえで親の対応を考えてみたいと思います。
子どもには、「自分には価値がある」と思わせましょう。
もちろん親にとっては大事な子どもなのですが、それが子どもに伝わっているでしょうか?
「あなたは大事な子どもなのだ」とハグしてあげていますか?
ちゃんと目をみてお話を聞いてあげていますか?
子どもが頑張っていることに目を向けて褒めてあげていますか?
できないことや失敗ばかり責めていませんか?
危険なことをした時は、真剣に叱っていますか?
悪いことや間違ったことをした時は、一生懸命教えていますか?
必要な時には強い口調で叱っていますか?
子どものわがままには折れずに我慢させていますか?
認められ褒められることによって、子どもは愛されていると感じ、叱られ厳しく教えられることによって、子どもは親がちゃんと自分を見て指導してくれているのだと安心するのです。
親が喜怒哀楽の感情をしっかり示して、子どもに接することがとても大切です。
いかがですか?
経済が疲弊している現在、大学を出ても就職できないなど若者を取り巻く状況はとても厳しいです。 今の社会も、これからの社会も、もしかしたら子ども達には生きにくい社会かもしれません。
だからこそ、子どもには精神的なたくましさが必要なのです。
社会全体を変えることはできなくても、親子の関係は変えられますよね。
幼児期はとても大切な時期。ぜひ子どもとの関わり方を考えてみてくださいね。