きょう12月1日は世界中がエイズ啓発に取り組む「世界エイズデー」。国内では東京 日本武道館で「Act Against AIDS 2015『THE VARIETY 23』」が開催される。1993年に俳優の岸谷五朗さんの呼びかけで始まったエイズ啓発のイベントで、今年はPerfume、ポルノグラフィティのほか、三浦春馬さんや吉高由里子さん、ハリセンボンの近藤春菜さんなどが参加するという。
今月17日、アメリカの俳優チャーリー・シーンさんがHIVに感染していることを公表した。米NBCのテレビ番組で約4年前にHIVに感染したことを告白。現在は投薬によりエイズは発症していないという。チャーリーさんは女性遍歴が多いことで知られるが、公表をきっかけに感染を知らずに関係をもったと主張する人々があらわれ、訴訟が検討されている。一方で、1991年にHIV感染を公表した元バスケットボール選手のマジック・ジョンソンさんがツイッターでエールを送るなど、有名俳優の告白が大きな波紋を呼んでいる。各地でエイズ啓発のメッセージが発信される「世界エイズデー」のきょう、改めて「エイズ」という病気について考えてみたい。
■HIVによって免疫力が奪われる病気
エイズは、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の感染によって引き起こされる疾患である。通常、体は免疫機能の働きにより病原体から守られているが、HIVに感染すると免疫機能に障害が生じて免疫力が低下。抵抗力が下がることで、正常なら問題ない病菌でも感染症を起こしたり、悪性腫瘍を発症したりする。こうした免疫不全に陥った状態をエイズと呼んでいる。過去には世界的ロックバンド クィーンのフレディ・マーキュリーさんもエイズを発症し、命を落とした。
■男性同士の性行為による感染が7割
HIVの感染経路は、主に性的感染、血液感染、母子感染の3つに分けられる。HIV患者の多くは性行為による感染であるが、そのうち男性同士の性行為による感染が7割を占める。また血液感染では、医療従事者がHIV感染患者に使用した注射針を誤って刺しての感染、母子感染では、感染者である母親の出産による乳児の産道感染や、母乳から感染するケースもみられる。
■無症状のまま、エイズ発症にいたることも
感染初期には、発熱、倦怠感、頭痛、関節痛などインフルエンザなどにみられる一般的なウイルス感染症の症状をともなうことがある。しかし、その後は無症状のまま、体内でHIVが増殖していくため感染に気づかないことも多い。自覚なく他人に感染させてしまうおそれがあるため、感染が疑われたら早急なHIV検査が必要だ。
■薬物治療でエイズ発症を抑える
血液検査によって診断が確定される。しかし感染から約1ヶ月はHIV感染の所見が検査にあらわれないことが問題とされている。空白期間を縮めるため、最近ではHIVの遺伝子であるRNAから診断する検査もあわせて用いられている。HIV増殖の抑制に効果を上げている薬物治療は完治には至らず、服用の継続が発症を抑制する条件となる。
HIV検査は、最寄りの保健所で匿名かつ無料で検査が可能である。疑いがもたれた際は、感染拡大を防ぐためにも早急に保健所や病院での相談がのぞまれる。なお、献血ではHIV検査は不可能なので気をつけたい。いまや身近な病気のひとつとなっている『エイズ』。自分や大切な人が生きるために正しい知識を得ること、理解することが重要である。世界エイズデーのきょう、改めて考えてみてはどうだろうか。
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(天城毅彦)
教えて!goo スタッフ(Oshiete Staff)