一般ウケもいい! アニメ好き以外が見ても面白いおすすめアニメ20選 | ニコニコニュース

マイナビスチューデント

突然ですが、あなたはアニメが好きですか? なかには、子どもっぽいからと見ていない人もいるのではないでしょうか。もし食わず嫌いで見ていないのだったら、絶対もったいないです! 国内外問わず、近年のアニメの作品には、実写SF映画顔負けの壮大な世界観を持つ作品や、有名な文学作品を原作とした見応えのあるストーリーの作品など、大人だからこそ楽しめるものもたくさんあるんです。今回は、そんな見応えある『アニメ好き以外が見ても面白いアニメ20選』をご紹介します。

1.巌窟王

原作はフランスの文豪、アレクサンドル・デュマ・ペールが1844年から新聞連載した大河ロマン小説『モンテ・クリスト伯』。ナポレオン時代のフランスを舞台に、仲間の裏切りにあった若い航海士が大富豪になり壮絶な復讐を遂げるというストーリーで、アメリカのSF作家アルフレッド・ベスターの『虎よ、虎よ!』という有名小説のモチーフになったともいわれています。

これまでにも復讐を誓う男の一代記として、舞台や映画などでリメイクされている作品ですが、このアニメでは復讐の犠牲となる少年が主人公。また、時代設定は未来のパリに変更されており、宇宙船や宇宙戦艦、「鎧」と呼ばれる人型ロボット兵器などが登場するSF要素も追加されています。

フランス文学の名作を下地とした濃厚なストーリーはもちろんですが、独創的な映像表現も魅力のひとつ。テクスチャを多用し、実写では表現することのできない華々しい画面構成で、フランス貴族の世界を描き出しています。

≪作品概要≫
原作:アレクサンドル・デュマ著「モンテ・クリスト伯」
監督:前田真宏
シリーズ構成:神山修一
キャラクターデザイン:松原秀典
音楽:ジャン=ジャック・バーネル
笠松広司 & 北里玲二(teng)
アニメーション制作:GONZO
製作:MEDIA FACTORY、GDH
放送局:テレビ朝日
放送期間:2004年10月5日~2005年3月29日

2.東京マグニチュード8.0

膨大な取材データと関係者のインタビューをもとに、巨大地震がもたらす被害の深刻さを描いたアニメ。ストーリーは、女子中学生の小野沢未来(おのざわ・みらい)と小学生の弟・悠貴(ゆうき)が、東京都お台場のロボット展に遊びに行った際、マグニチュード8.0の海溝型大地震に見舞われ、周囲の力を借りながら世田谷区にある自宅へと帰還するというもの。

災害に伴う周囲の人間との衝突、ショッキングな現実などを通じて主人公の成長を描いたヒューマンドラマでありながら、地震によって発生する建物の倒壊や火災をはじめとするさまざまなトラブルを疑似体験できます。アニメとしてのエンターテイメント性を十分に持っており、作品を楽しみながら地震について学ぶことができそう。

防災、危機管理的な内容も盛り込まれており、防災に関するシンポジウムなどで総集編の上映が行われたことも。2010年にはTVシリーズに脚色を加えた小説が発売されました。

≪作品概要≫
監督:橘正紀
シリーズ構成:高橋ナツコ
キャラクターデザイン:野崎あつこ
音楽:大谷幸
アニメーション制作:ボンズ、キネマシトラス
製作:東京マグニチュード8.0製作委員会
放送局:フジテレビ
放送期間:2009年7月9日~9月17日

3.へうげもの

舞台は、戦乱により時代が大きく動く一方で、多種多様な文化、芸術が花開いた戦国時代。茶の湯の世界に心を奪われてしまった武将・古田左介(別名:古田織部(ふるた・おりべ))は、物欲と出世欲の狭間で葛藤していた。

いかに生きるべきか悩む左介は、やがて美を愛する "数奇者" として天下を取ることを決意し、"へうげもの" (「ふざける、おどける」を意味する「へうげる」に由来する言葉)への道をひた走る……。

戦国時代を舞台としながら織田信長や豊臣秀吉といった有名武将ではなく、現在にも受け継がれる焼き物の、織部焼の創始に関わったと言われる古田左介を主人公に据えたコメディータッチの作品。茶の湯だけでなく建築、造園などにも携わり、不均衡さのなかに美を見出す、織部好みと呼ばれる一大流行を生み出した人物です。

緻密な時代考証に基づいており、そのほかの戦国武将や当時の時代情勢も登場。当時の芸術やそれを愛する人々の生き様を軸に、一風変わった歴史観が楽しめます。

≪作品概要≫
原作:山田芳裕(10話まで)
監督:真下耕一
シリーズ構成:川崎ヒロユキ
脚本:川崎ヒロユキ
キャラクターデザイン:津幡佳明、山下喜光
音楽:大谷幸、cro-magnon
アニメーション制作:ビィートレイン
製作:NHK
放送局:NHK BSプレミアム
放送期間:2011年4月7日~2012年1月26日

4.狼と香辛料

主人公であるクラフト・ロレンスは馬車で各地を巡り、さまざまな商品の取引を行う20代半ばの行商人。ある時、白いしっぽと獣耳を持つ美少女ホロが馬車の荷台に潜り込んでいることに気付いた。

彼女は"麦の豊作を司る狼神"を名乗り、クラフトは疑いの目を向けていたが、一緒に彼女の故郷ヨイツへと向かうこととなる…。

ファンタジーといえば、剣と魔法を使いこなす勇者一行が大魔王をやっつけるというのが定番のストーリーですが、これは中世ヨーロッパによく似た架空世界の経済活動を描いた、ちょっと変わった作品。戦闘、アクションシーンはあまりなく、経済によって起こる争いを題材にしています。

「リュミオーネ金貨」「トレニー銀貨」「エニー銅貨」など数多くの貨幣が登場し、貨幣価値の変動を取り上げるシーンも。原作となったライトノベルは、経済の初歩について学べる作品として読売新聞に取り上げられています。

≪作品概要≫
原作:支倉凍砂
監督:高橋丈夫
脚本:荒川稔久
キャラクターデザイン:黒田和也(第1期)、小林利充(第2期)
音楽:吉野裕司
アニメーション制作:IMAGIN(第1期)、ブレインズ・ベース、マーヴィージャック(第2期)
放送局:独立UHF局など
放送期間:2008年1月~3月

5.PERFECT BLUE(パーフェクト ブルー)

ストーリーは、アイドルグループ「チャム」に所属する霧越未麻(きりごえ・みま)がグループ脱退を宣言し、女優への転身を図るところから始まる。事務所の方針に戸惑いながらレイプシーンの演技、ヘアヌード写真集の撮影を行った未麻はアイドル時代の自分の幻覚を見るようになってしまう。

ちょうどその頃、未麻のストーカーが彼女になりすまして制作したウェブサイトが開設。未麻の仕事に関わった脚本家、カメラマンを狙った連続殺人事件まで発生する……。

『パプリカ』『東京ゴッドファーザーズ』などの作品で、世界的に名が知られた今敏氏の監督デビュー作。アニメ映画としては珍しい本格的なサイコサスペンスのアニメ映画に挑戦しており、精神を病み、現実と幻覚の区別がつかなくなった未麻の視点で、一連の猟奇的な事件を描いています。

犯人はいったい誰なのか、それともすべて未麻の幻想なのか。まったく先の読めない構成に、目が釘付けになってしまうはず。

≪作品概要≫
監督:今敏
脚本:村井さだゆき
原作:竹内義和
製作総指揮:鷲谷健
出演者:岩男潤子
音楽:幾見雅博
撮影:白井久男
製作会社:マッドハウス
配給:レックスエンテイメント
公開: 1998年2月28日(日本)

6.イヴの時間

家事を行う人間型ロボット、通称ハウスロイドが一般家庭に普及し、ロボットに依存する「アンドロイドホリック」が社会問題化した未来。高校生の主人公・向坂リクオは所有しているハウスロイドのサミィから命令していない行動記録を発見する。

リクオは、中学時代からの友人、真崎マサカズ(まさき・まさかず)とともにその足跡をたどり、「人間とロボットを区別しない」という不思議なルールを掲げる喫茶店「イヴの時間」が見つけるが…。

感情を持ち、人間そっくりに行動するロボットと、それをあくまでも道具のように扱おうとする人間社会の葛藤を描いたヒューマンドラマ。小さな喫茶店を舞台に、主人公らがロボットの気持ちに気付いていく心温まるストーリーです。

映画版は、2008年からインターネット上に公開されたシリーズ作品を編集したもの。原作から編集、絵コンテ、音響監督など吉浦康裕氏が一手に担っており、「第9回東京アニメアワード」では、OVA部門で優秀賞を受賞しました。

≪作品概要≫
監督:吉浦康裕
脚本:吉浦康裕
原作:吉浦康裕
キャラクターデザイン:茶山隆介
音楽:岡田徹
アニメーション制作:スタジオ・リッカ
制作:ディレクションズ

7.青い文学シリーズ

『人間失格』『走れメロス』(太宰治)、『桜の森の満開の下』(坂口安吾)、『こころ』(夏目漱石)、『蜘蛛の糸』『地獄変』(芥川龍之介)という日本文学の名作をアニメ化し、オムニバス形式で放送したシリーズ。集英社文庫が2007年に、週刊少年ジャンプで活躍する人気漫画家が文学作品の表紙を描きおろす企画「夏の一冊 ナツイチフェア」を行ったことをきっかけに制作されました。

キャラクター原案も少年ジャンプの漫画家が担当しており、『人間失格』『こころ』は小畑健氏、『桜の森の満開の下』『蜘蛛の糸』『地獄変』は久保帯人氏、『走れメロス』は許斐剛氏によるもの。作品ごとに監督や脚本家も異なるため、さまざまな雰囲気の作品が楽しめます。

ストーリー、設定は大幅な脚色が加えられており、なかにはミュージカル、ギャグ要素を追加しているものも。俳優の堺雅人氏がシリーズのナビゲーター、6作すべての主人公の声優を担当しています。

≪作品概要≫
監督:浅香守生(人間失格)、荒木哲郎(桜の森の満開の下)、宮繁之(こころ)、中村亮介(走れメロス)、いしづかあつこ(蜘蛛の糸・地獄変)
脚本:鈴木智(人間失格)、飯塚健(桜の森の満開の下)、阿部美佳(こころ)、川嶋澄乃(走れメロス)、小林雄次、いしづかあつこ(蜘蛛の糸・地獄変)キャラクターデザイン:筱雅律(人間失格)、香月邦夫(桜の森の満開の下)、宮繁之(こころ)、細居美恵子(走れメロス)、兼森義則(蜘蛛の糸・地獄変)
アニメーション制作:マッドハウス
放送局:日本テレビ
放送期間:2009年10月10日~12月26日

8. 戦場でワルツを

かつてイスラエル国防軍に所属していたアリ・フォルマンはある日、兵役時代の友人に再会した。レバノン戦争の後遺症で悪夢に悩まされているという話を聞き、フォルマンは自分も体験したはずのその戦争が思い出せなくなっていることに気がついた。

その後、裸で海を漂っている断片的な記憶が蘇り、これを手掛かりに自分の記憶を取り戻そうと、世界中にいる戦友たちに会いに行った。それぞれの苦痛に満ちた戦争体験を聞くうち、フォルマンは戦争の記憶を取り戻すのだが…。

監督であるアリ・フォルマン氏が、実体験を基に制作したイスラエルのドキュメンタリー作品。戦場の過酷な体験を、写実的なイラストを使用した独創的な映像で表現しました。

ほぼ全編にわたって実写を使わないアニメ作品ながら、「ゴールデングローブ賞」「セザール賞」「ブリティッシュ・インディペンデント・フィルム賞」などで外国語映画賞を獲得しました。

≪作品概要≫
監督:アリ・フォルマン
脚本:アリ・フォルマン
製作:アリ・フォルマン
出演者:アリ・フォルマン
音楽:マックス・リヒター
編集:ニリ・フェレー
公開:2008年6月12日(イスラエル)、2009年11月28日(日本)

9.のだめカンタービレ

ピアノ科に在籍しながら指揮者を目指している音大生・千秋真一(ちあき・しんいち)は、自分の将来に不安を感じていた。音楽の才能はあるものの、過去のトラウマから飛行機や船舶に乗ることができず、クラシック音楽の本場であるヨーロッパに行くことができなかったのだ。

自暴自棄になっていたある日、千秋は酔っ払って自宅の前で寝てしまった。目が覚めると、同じ学科に在籍する野田恵(のだめぐみ)、通称 "のだめ" の部屋の中だった。ずぼらな彼女はゴミだらけの部屋でピアノを演奏しており、その音色に千秋は天賦の才能を感じる。2人は互いの才能を認め合いながら、交流を深めていく……。

一風変わった人の多い音大生たちが将来に不安を抱えながらも、自分の夢に向かって努力し成長していく過程を描いたコメディータッチのアニメ。ベートーヴェンやドヴォルザーク、モーツァルトなどの有名音楽家の作品が多数登場します。馴染みの無い人でも親しめるよう分かりやすい解説も加えられており、自然とクラシック音楽に詳しくなれます。

≪作品概要≫
原作:二ノ宮知子
監督:カサヰケンイチ(第1期)、今千秋(第2期、第3期)
シリーズ構成:金春智子(第1期)、榎戸洋司(第2期)、中島かずき(第3期)
キャラクターデザイン:島村秀一
アニメーション制作:J.C.STAFF
放送局:フジテレビ系
放送期間:2007年1月11日~6月28日(第1期)、2008年10月9日~12月18日(第2期)、2010年1月14日~3月25日(第3期)

10. Ergo Proxy

環境汚染などにより自然が荒廃してしまい、人間がドーム型の都市の中でしか生きられなくなった地球。理想の楽園と称される都市「ロムド」は、住民が「オートレイヴ」というロボットの補佐、管理のもと、犯罪と無縁の生活を送る完全管理社会を形成していた。

だが、近年はオートレイヴに自我を芽生えさせる謎のプログラム「コギトウイルス」が問題化しており、オートレイヴの暴走、殺人事件が発生していた。19歳の情報局職員、リル・メイヤーは、コギトウィルスに感染したオートレイヴを捜査しているとき、極秘施設から逃亡した異形の怪人「プラクシー」に遭遇してしまう…。

ダークな設定で、文明が崩壊したディストピア社会を描くSFアニメ。哲学や心理学の知見を取り込んでおり、「モナド」「存在理由(レゾンデートル)」などの概念が登場します。自我の存在理由を問いかける、難解ながらも考えさせられてしまうストーリーが魅力です。

≪作品概要≫
原作:manglobe
監督:村瀬修功
キャラクターデザイン:恩田尚之
音楽:池頼広
アニメーション制作:manglobe
製作:GENEON ENTERTAINMENT、GENEON ENTERTAINMENT USA、WOWOW、manglobe
放送局:WOWOW
放送期間:2006年2月25日~8月12日

11. BACCANO!

舞台は、禁酒法の影でギャングが勢力を伸ばしていた1930年代のアメリカ。かつて錬金術師が悪魔を召喚して手に入れた「不死の酒」を、錬金術士セラードが蘇らせてしまう。

裏社会を舞台にこの不死の酒を巡るいざこざが起こってしまい、数々の不思議な事件が発生。膨大な人々による、バッカーノ(イタリア語で馬鹿騒ぎの意)が始まった…。

たくさんのキャラクターたちが複雑に絡み合い、謎が謎を呼ぶストーリーの群像劇。サスペンスやアクション、コメディ、ロマンスなど1つの作風に捉われない多彩な展開を見せます。

特定の主人公はおらず、エピソードによってメインキャラクターが変わり、時間軸もバラバラ。ストーリーの全体がさまざまなキャラクターの視点を通じて明らかになっていく構成です。それぞれに雰囲気の異なる各エピソードだけでなく、繰り返し見ることでストーリー全体を把握していく謎解き的な楽しみ方もできる作品。

≪作品概要≫
監督:大森貴弘
シリーズ構成:高木登
脚本:高木登
キャラクターデザイン:岸田隆宏
アニメーション制作:ブレインズ・ベース
製作:Project Baccano!
放送局:WOWOW
放送期間:2007年7月26日~11月1日

12. DEATH NOTE

夜神月(やがみ・らいと)は頭脳明晰、容姿端麗、抜群の運動神経など、あらゆる面で高いスペックを持つ高校生。ある日、学校の敷地内で死神リュークが落とした「デスノート」を拾った。見た目は普通のノートと変わらないが、名前を書けば、その人物を殺すことができるという。

正義感の強かった夜神は絶えることのない悪行を自らの手で裁き、犯罪者の存在しない新世界を作るべく、密かに世界中の犯罪者の名前を次々とノートに書いた。その存在に気づいた国際刑事警察機構は謎の名探偵L(エル)に調査を依頼。こうして2人の天才による頭脳戦が幕を開けた…。

ドラマ、小説、ミュージカルなど幅広いメディアミックス展開を行った有名作。見たことはなくても、おおまかな設定くらいは耳にしたことがあるという人が多いのではないでしょうか。

この作品の魅力は、なんといっても天才たちが知恵のかぎりを尽くした心理戦と駆け引き! 読者の予想を裏切り続ける展開からは目が離せません。

≪作品概要≫
監督:荒木哲郎
シリーズ構成:井上敏樹
キャラクターデザイン:北尾勝
音楽:平野義久、タニウチヒデキ
アニメーション制作:MADHOUSE
放送期間:2006年10月4日~2007年6月27日

13. フラクタル

22世紀、世界を管理する「フラクタルシステム」が完成し、人類は働かなくても生きていける楽園のような世界を手に入れた。1000年後、フラクタルシステムは崩壊の危機に陥ったが、もはや修復できる人間はいなくなっていた。

14歳のクレイン・ネクランは、ある日、何者かから逃走して崖から転落した16歳の少女フリュネに出会う。しかし、彼女はアバター "ネッサ" のデータを収めたブローチを残して姿を消してしまった。クレインはネッサとともにフリュネを探す旅に出て、フラクタルシステムの秘密を知ることとなる…。

哲学者として知られる東浩紀氏が、初めてアニメ制作に参加した作品。ユートピアともディストピアともつかない未来の世界を題材にしたSFファンタジーです。気軽に楽しむこともできますが、思想的な示唆を多分に持っており、現代人のようでいて現代人とは異なる行動原理を持つキャラクターたちが魅力です。

≪作品概要≫
原作:マンデルブロ・エンジン
監督:山本寛
シリーズ構成:岡田麿里
脚本:岡田麿里、大西信介、吉野弘幸、東浩紀
キャラクターデザイン:田代雅子
メカニックデザイン:林勇雄
音楽:鹿野草平
アニメーション制作:A-1 Pictures
放送期間:2011年1月13日~3月31日

14.機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争

主人公は、「リボー」と呼ばれるコロニーで母と2人暮らしをしている小学5年生のアルフレッド・イズルハ。戦争の苛酷さを知らず、終結間際の1年戦争がつまらない自分の生活を変えてくれるかもしれない、と期待感を抱いていた。

ある日、アルフレッドは連邦軍のモビルスーツを見つけに探索している最中に、北極から運びだされたコンテナを見つける。この情報はジオン軍まで伝わり、リボーにサイクロプス隊を送り込む「ルビコン計画」が開始されることとなった…。

誰もが知っているロボットアニメシリーズ「機動戦士ガンダム」のOVAですが、主人公のアルフレッド・イズルハは作中で一度もモビルスーツを操作しません。日々、戦争に直面しているパイロットではなく、無邪気な民間人の子どもの視点から戦争を描いています。戦争の悲しさや無意味さを表現した反戦的なテーマを持つ作品で、ロボットアニメが苦手な人でも楽しむことができそう。

≪作品概要≫
監督:高山文彦
キャラクターデザイン:美樹本晴彦
アニメーション制作:サンライズ
製作:サンライズ、バンダイ
発表期間:1989年3月23日~8月24日

15.灰羽連盟

主人公ラッカは飛ぶことのできない灰色の羽根が生えた人間 "灰羽" (はいばね)の1人。水に満たされたまゆの中で目を覚ましたばかりで、名前は高い空から"落下"する夢を見ていたことから付けられた。灰羽に共通する特徴として、彼女にも過去の記憶がまったくなかった。

灰羽たちの暮らす「オールドホーム」は高い壁に囲まれており、外に出ることができない「グリの街」にあった。ラッカは少しずつグリの街での暮らし、オールドホームの仲間たちに馴染んでいくが……。

セピア調の色彩のアニメーション、透明感のあるBGMから、幻想的な雰囲気が漂うファンタジー作品。天使のような見た目をした灰羽に関する設定は作中ではあまり解明されず、淡々とストーリーが進んでいきます。どういうわけか閉鎖された世界に身を置くことになったラッカを中心に、登場キャラクターの内面世界を描いたシーンが多く、哲学的な雰囲気を持つ作品が好きな人にはおすすめです。

≪作品概要≫
原作:安倍吉俊
監督:ところともかず
シリーズ構成:安倍吉俊
脚本:安倍吉俊
キャラクターデザイン:高田晃
音楽:大谷幸
アニメーション制作:RADIX
製作:光輪密造工房/フジテレビ
放送局:フジテレビ
放送期間:2002年10月~12月

16. MONSTER

時は1986年。ドイツのアイスラー記念病院に勤めている日本人医師・天馬賢三(てんま・けんぞう)は、入院中の市長の手術を優先すべきだとする病院幹部たちの意に背き、銃弾を頭部に受け、瀕死の状態に陥っている少年ヨハンを救う。この後、幹部たちは天馬を失脚させようと企むが、なぜか次々と怪死を遂げてしまう。

それから9年後。天馬は成長したヨハンと再開し、幹部の死は彼によるものだったと告げられる。かつて天馬が命を救った少年は、冷酷な殺人鬼だったのだ。天馬はヨハンによる殺人事件の容疑者として指名手配されながらも、彼を追跡する…。

原作は「MASTERキートン」「20世紀少年」などで知られる浦沢直樹氏による本格派のミステリー漫画。猟奇殺人だけでなく、冤罪や医療倫理、人間愛、冷戦、ベルリンの壁崩壊前後のドイツ社会など、幅広いテーマが登場します。アニメ版は全74話と長めですが、次から次へと謎が現れ読者の心を捉えて離さないストーリーは健在です。

≪作品概要≫
監督:小島正幸
シリーズ構成:浦畑達彦
キャラクターデザイン:藤田しげる
音楽:はい島邦明
アニメーション制作:マッドハウス
製作:日本テレビ、小学館、VAP
放送局:日本テレビほか
放送期間:2004年4月6日~2005年9月27日

17. PSYCHO-PASS サイコパス

舞台は2112年の日本。人間の精神状態を科学的に分析することが可能になっており、その数値は「PSYCHO-PASS(サイコパス)」と通称されていた。このなかの1つに「犯罪係数」があり、規定値を超えると「潜在犯」として裁かれることとなる。

公安局刑事課一係に所属する狡噛慎也(こうがみ・しんや)は、犯人を捕まえる実働部隊にあたる「執行官」の1人。彼らは高い犯罪係数を持っており犯罪の根源に迫ることができるが、同時に犯罪者になる可能性もあるため、「監視官」による監視を受けながら働いている。公安局刑事課一係のメンバーが凄惨な事件を解決していくうち、狡噛の過去が明らかになっていく…。

ドラマ「踊る大捜査線」で知られる本広克行氏が総監督、虚淵玄氏らが脚本を務めたサイバーパンクなSFアニメ。犯罪係数を測定し、規定値を超えているとロックが解除される銃「ドミネーター」を装備した刑事たちの活躍や葛藤を描いています。管理社会をテーマにしているものの社会派の作品ではなく、かっこいい世界観に浸りながら楽しむことができるはず。

≪作品概要≫
総監督:本広克行
監督:塩谷直義
脚本:虚淵玄、深見真、高羽彩
キャラクターデザイン:天野明(原案)、浅野恭司、千葉崇洋(サブ)
メカニックデザイン:常木志伸
音楽:菅野祐悟
アニメーション制作:Production I.G
放送局:フジテレビなど
放送期間:2012年10月11日~2013年3月21日(第1期)、2014年7月10日~9月18日(新編集版)

18. 新世界より

舞台は現代から1000年後の未来の日本。人類は潜在的に人間に備わった「呪力」と呼ばれる超能力を身に付けるようになっていた。渡辺早季も他の子どもと同じように12歳で呪力が発現し、その訓練を行う「全人学級」に入学した。

顔なじみのメンバーと同じ班になり、新たな学園生活に胸を躍らせていたが、夏季キャンプに出掛けた際、「ミノシロモドキ」という未確認生物に遭遇。そこで人類の血生臭い歴史を知ったために、寺の僧侶によって拘束され、呪力を凍結されてしまう…。

原作は特異な世界観を持つことから映像化が難しいとされていた、日本SF大賞を受賞した貴志祐介氏の長編小説。現代のテクノロジーが失われ、しきたりや神に逆らうことが許されなくなってしまった未来の世界を舞台に、12歳、14歳、26歳になったキャラクターたちの動向を描いた3部作のSFアニメです。生命の根源、人間のエゴイズムに対して問いを投げかけるミステリアスなストーリー展開は一見の価値あり!

≪作品概要≫
原作:貴志祐介
監督:石浜真史
シリーズ構成:十川誠志
キャラクターデザイン:依り(原案)
久保田誓、清水祐実(サブ)
音楽:小森茂生
アニメーション制作:A-1 Pictures
放送期間:2012年10月~2013年3月

19. 東京ゴッドファーザーズ

元競輪選手を自称するギン、元ドラァグ・クイーンのハナ、家出した女子高生のミユキは、新宿の公園で暮らしているホームレス。あるクリスマスの夜、3人はゴミ捨て場から赤ん坊を見つけてしまう。

ギンはすぐに警察に届けるべきだと主張したが、赤ん坊が欲しかったハナは「清子」と勝手に命名して大喜び。情が移ってしまった3人は雪が降るなか自力で親探しを始めた。さまざまなトラブルを乗り越え、3人は少ない手掛かりから母親を名乗る人物を見つけることに成功するが…。

1948年に製作されたアメリカ映画「三人の名付親」から着想を得たとアニメ映画。主人公たちはいずれも、訳あって孤独になってしまったホームレスたちですが、テーマは家族の大切さです。直面した数々のピンチを、人のつながりや赤ん坊への思いで乗り越えていきます。笑いあり、涙ありのストーリー展開になっており、最後まで夢中になって見ることができるはず。

≪作品概要≫
監督:今敏
脚本:信本敬子、今敏
原作:今敏
製作:滝山雅夫
小林信一
製作総指揮:豊田智紀
音楽:鈴木慶一
撮影:須貝克俊
製作会社:マッドハウス
公開:2003年11月8日

20. WOLF'S RAIN

舞台は氷河期を迎えて文明が衰退し、狼が絶滅したとされる世界。狼たちは人間の姿に変身する特殊な能力を使って、都市に溶け込みひっそりと生き残っていた。

主人公・キバはそんな狼の1匹。彼はこの世のどこかにあるという伝説の楽園に行こうとしており、その手掛かりになる「月の花」を探し求めていた。ツメ、ヒゲ、トオボエと仲間になったキバは、4匹で楽園へと続く過酷な旅を始めることとなる…。

現実世界とは異なる能力を持っている狼たちが新しい世界を求めてひた走るロードムービー。洋楽風のオープニング、エンディングテーマ、美しいアニメーションも素晴らしいのですが、なんといっても見所は壮大なストーリー! 楽園とはいったい何なのか。楽園にたどり着くことができるのか。そんな視聴者の思いをよそに、荒廃した世界を走り抜ける狼たちの切ない姿が心を打ちます。ギャグ要素の少ないシリアスな内容で、骨太な展開が楽しめるはず。

≪作品概要≫
原作:BONES、信本敬子
監督:岡村天斎
キャラクターデザイン:川元利浩
メカニックデザイン:荒牧伸志
音楽:菅野よう子
アニメーション制作:BONES
製作:フジテレビ、ボンズ、バンダイビジュアル
放送局:フジテレビ系列
放送期間:2003年1月~7月

いかがでしたか? アニメのなかには、実写に負けないかっこいいアクションシーンや心温まるストーリーが楽しめる作品もあります。良作として長年愛されているものも多いので、アニメが苦手な人も勇気を出してチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

ライター:島田 昌樹(サイドランチ)