東京電力福島第1原発事故の約3カ月後に自殺した福島県相馬市の酪農家菅野重清さん=当時(54)=の妻バネッサさん(37)ら遺族が、自殺は事故で酪農ができなくなったことが原因だとして、東電に1億円余りの損害賠償を求めた訴訟は1日、東京地裁(中吉徹郎裁判長)で和解が成立した。

 訴状によると、菅野さんは相馬市で牧場を経営し、乳牛約40頭を飼育していたが、2011年3月の原発事故で一時原乳が出荷停止となるなどしたため、牛の処分に追い込まれた。同年6月、自宅に隣接する堆肥小屋の壁に「原発さえなければ。仕事をする気力をなくしました」と書き残し、自殺した。

 東電側は当初、事故と自殺の因果関係を否定し、争う姿勢を示していた。

 東京電力の話 菅野さんのご冥福を心よりお祈りいたします。訴訟に関する詳細な内容については、コメントを控えます。