キウイ、スイカを食べると口がかゆい! 耳鼻咽喉科専門医に聞く「口腔アレルギー症候群」の対策法 | ニコニコニュース

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「キウイやスイカを食べると、唇や口の中がチクチクしてかゆい、腫(は)れて辛い」と言う人が増えています。耳鼻咽喉科専門医で、とおやま耳鼻咽喉科(大阪市都島区)の遠山祐司院長は、「特定の食品を口にすることで起こる症状で、『口腔(こうくう)アレルギー症候群』と呼びます。花粉症と関係があります」と言います。詳しいお話を聞いてみました。

■口腔アレルギーは、花粉症のある人が発症する

――キウイやスイカを食べると、ときどき口の中に違和感を覚えます。これが「口腔アレルギー症候群」なのでしょうか。具体的にどのような症状になるのでしょうか。

遠山医師 軽症の口腔アレルギー症候群だと考えられます。特定の果物・野菜・ナッツ類などを食べてから、15分以内にその食品が接触した唇や口角のあたり、舌、ほおの内側、のどがかゆい、腫れる、イガイガする、花粉症のときのように涙が出る、鼻水やくしゃみが出るなどの症状が現れます。

アレルギー反応が強いと、体のどこかにじんましんが出る、顔面まで腫れる、また、のどが詰まる、吐き気、嘔吐(おうと)、腹痛や下痢など、消化器に異常が現れることもあります。

重い場合は、急性のアレルギー症状、「アナフィラキシー・ショック」とも言いますが、喘息(ぜんそく)発作、呼吸困難、低血圧によるショック症状で命に関わることもあります。

――果物や野菜を食べてそんなことになるとは、怖ろしいです。原因は何なのでしょうか。

遠山医師 花粉症がある人の一部に起こることが分かっています。「花粉症の原因となる物質(アレルゲン)がその食品に含まれている」、もしくは、「それぞれが性質的に似ているため、体が同じ物質だと錯覚する」ことで起こります。

――口腔アレルギーは、花粉症と深く関わっているということですね。それぞれのアレルゲンに関係性はありますか。

遠山医師 あります。口腔アレルギーの症状が出る具体的な花粉と食品の組み合わせは次のとおりです。

・2~5月に多いスギとヒノキの花粉症の人の中には、トマトを食べたときに症状が出る人がいます。

・カバノキ科のシラカバ花粉は2~5月に北日本・東日本に、また同科のヤシャブシ花粉は西日本に多いことで知られています。それらの花粉症の人の中には、バラ科の果物であるリンゴ、モモ、サクランボ、ナシ、ビワ、イチゴ、アンズ、プラム、ウリ科のメロン、スイカ、キュウリ、ナッツ類のクルミ、アーモンド、サンフラワーシード(ヒマワリの種)、また、セロリ、アニス、クミン、ジャガイモ、トマト、キウイフルーツ、パセリ、ニンジン、コリアンダー、大豆、ヘーゼルナッツ、ピーナッツなどで口腔アレルギー症候群を起こすことがあります。

・5~10月のイネ科の花粉症には、スイカ、メロン、オレンジ、キウイ、トマト、米、小麦など。

・8~11月の西日本に多い秋のブタクサ・ヨモギ花粉症と関係があるのは、スイカ、メロン、リンゴ、バナナ、野菜ではセロリ、ニンジンなど。

なお、ゴム(ラテックス)にもアレルギーを起こす場合があります。「ラテックスアレルギー」と言いますが、思いあたる場合は、仕事のときや治療を受ける際などにはゴム手袋に触れないように注意してください。

■自分のアレルギーの原因となる食品と花粉の種類を検査で特定しておく

――口腔アレルギー症候群は、どのようにして診断されるのでしょうか。

遠山医師 該当食品を食べたときに症状が現れた場合は、花粉症を含めて問診と血液検査で診断します。血液検査では、原因となるアレルゲンを特定できることが多いです。

――自分でできる対策と予防法はありますか。

遠山医師 食品を口にして違和感を覚えたときはその場で吐き出し、すぐに水で手と口と顔を洗ってください。その上で、早急に耳鼻咽喉科か内科、アレルギー科を受診してください。クリニックが閉まっている深夜や休日に重い症状が出た場合は救急外来を利用しましょう。内服薬や点滴で対応します。

予防のためには、まずは、「アレルギー症状が出る食品に触れない、食べないこと」です。そのためには、あらかじめ食品を特定しておく必要がありますから、花粉症の人は医療機関を受診してください。

また、アレルゲンとなる花粉が飛ぶ季節に口腔アレルギー症候群を発症する傾向にあります。花粉症の治療、対策も実践しましょう。

もっとも、風邪、睡眠不足、疲労、ストレスなどがあると免疫力が低下していると考えられ、発症、悪化しやすくなります。該当する花粉症の時期は特に無理をせず、意識的に休養をとりましょう。

――口腔アレルギー症候群の基礎知識がよく分かりました。ありがとうございました。

まずは自分のアレルゲンとなる食品と花粉を知っておき、適切な薬を処方してもらうことが重要でしょう。いざというとき、その事前の備えが何より役に立ちそうです。

(品川緑/ユンブル)

取材協力・監修 遠山祐司氏。耳鼻咽喉科・気管食道科専門医。大阪市都島区医師会会長。医学博士。とおやま耳鼻咽喉科(大阪市都島区)院長。

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