俳優の綾野剛(33)が、メジャーデビュー作『凶悪』でさまざまな映画賞を受賞した白石和彌監督(40)の新作『日本で一番悪い奴ら』(来年6月25日公開)に主演することが3日、わかった。“日本警察史上、最大の不祥事”と呼ばれる「稲葉事件」をモチーフにした同作で北海道警察の警部を演じる。今年だけで映画公開作が5本、来年も既に5本公開予定、現在も主演ドラマが放送中と多忙を極めているなか、「何を犠牲にしても出演するべき作品」と、オファーからわずか3日で出演を快諾。役作りのためクランクインからアップまで体重を10キロ増減させて撮影に挑んだ。
「稲葉事件」とは、2002年7月、北海道警察の生活安全特別捜査隊班長である稲葉圭昭警部が、覚せい剤取締法違反容疑と銃砲刀剣類所持等取締法違反容疑で有罪判決を受けたことから北海道警察による不祥事が明るみに出るとともに、北海道警裏金事件が発覚するきっかけともなった事件。
同作は、長年企画を温めていた白石監督が覚悟を決め、『凶悪』のプロデューサーチームと再びタッグを組んで挑む意欲作。“黒い警部”と異名を残す実在の男をモデルにした綾野演じる警部と、“S”(スパイ)と呼ばれるチンピラなどの捜査協力者たちとのバディムービーの要素も加わり、世界で勝負できる作品を目指す。
脚本に惚れ込んだ綾野は「始まってしまう。情報解禁というだけで、武者震いします。実話を元にした白石和彌監督作品『日本で一番悪い奴ら』通称<日悪(ニチワル)>が、少しずつ皆さまに近づいている。まるで獲物に狙いを定め、ギリギリの極致まで爪を見せない何物のように。何かのプレイのように」とコメント。
白石監督との出会い、撮影を「私の役者人生に無二の影響を与えていただきました」と振り返り、「この作品は、私が来年出演する映画でも、もっとも衝撃で愚かで愛おしい、何物にも変えがたい問答無用の最狂最愛物語です。皆さま、どうか、一人の男の人生を目撃ください」と独特のセンスを交えて意気込みを語っている。
白石監督は「綾野剛という稀代の映画俳優と共に粉骨砕身して取り組みました。一人の人間の半生を描くことが、これほどまでに困難で苦しく、そして極上の輝きを持つものかと驚嘆しています。それもこれも全ては綾野剛! 苦く哀しく、どうしようもなく楽しい極上のエンターテインメントになっています。楽しみにお待ち下さい」と呼びかけている。