俳優の綾野剛さんが、実際にあった警察の不祥事をテーマに描く映画「日本で一番悪い奴ら」(白石和彌監督・2016年6月25日公開)で主演することが4日、明らかになった。実在の人物をモデルにした北海道警の警部を演じる綾野さんは、「来年出演する映画で、最も衝撃で愚かで愛おしい、何物にも代えがたい問答無用の最狂最愛物語です」とコメントしている。
映画のモデルとなった「稲葉事件」は、02年7月に道警の生活安全特別捜査隊班長だった稲葉圭昭警部が、覚せい剤取締法違反容疑などで逮捕され、有罪判決を受けた事件。道警の不祥事が明るみに出るとともに、03年の「北海道警裏金事件」が発覚するきっかけとなった。
映画は、稲葉さん本人による手記「恥さらし 北海道警 悪徳刑事の告白」(講談社文庫・2016年1月15日発売)を原作に、“黒い警部”と異名を残す道警の警部が逮捕されるまでの26年間を描く。製作は、映画「凶悪」(2013年)で監督としてメジャーデビューした白石監督と、「凶悪」のプロデューサーチームが再びタッグを組み、脚本は池上純哉さんが担当している。
主演する綾野さんは、「何を犠牲にしても出演するべき作品」と脚本にほれ込み、3日で出演を快諾。徐々に悪に染まっていくというクレイジーな役どころを振り切って演じ、役作りでは体重を10キロ増減させ、毎日のように柔道の練習に取り組んでいたという。初タッグとなる白石監督について、「監督との出会い、撮影現場、過ごした時間は、私の役者人生に無二の影響を与えていただきました」と話した。
また、白石監督は綾野さんについて、「綾野剛という稀代の映画俳優と共に粉骨砕身して取り組みました。一人の人間の半生を描くことが、これほどまでに困難で苦しく、そして極上の輝きを持つものかと驚嘆しています。それもこれも全ては綾野剛!」と、評価していた。
撮影は今年の6月初旬〜7月上旬にすでに行われており、映画は来年6月25日に公開される。