アニメやゲームには、実在の剣だけなく神話などに登場する架空の剣が装備として登場します。皆さんは、こうした剣の「出自」はご存じですか? 例えば、さまざまなRPGに登場する「エクスカリバー」という強力な剣。これは『アーサー王物語』に登場する魔法の力が宿る剣です。今回は、こうしたRPGに登場する「剣」の出自を紹介します。
■意外と出自を知らない人が多い剣も……
●ラグナロク
主に『ファイナルファンタジー』シリーズに登場するラグナロク。これは北欧神話における「終末の日」を意味する言葉で、剣ではありません。どのような経緯で剣の名前に採用されたのか気になりますね。
●レーヴァティン
北欧神話に登場する女巨人シンモラが保管している武器。剣だけでなく、やりなど他の形態の武器であるという説もあります。また、シンモラの夫である炎の巨人スルトが持つ剣という話もあり、そのためゲームやアニメには炎属性の剣として登場することが多く見られます。
●デュランダル
フランスの叙事詩『ローランの歌』に登場するすさまじい切れ味を持つ聖剣。英雄・ローランが瀕死になった際、デュランダルが敵の手に渡るのを恐れて壊そうとしますが、打ち付けた大理石が真っ二つになったというエピソードもあります。
●アロンダイト
中世イギリスの騎士道物語『ハンプトンのビーヴェス卿』などに登場した剣。アーサー物語に登場した騎士ランスロットの剣とされていますが、諸説あるためその設定も微妙なんだそうです。
●フラガラッハ
ケルト神話に登場する剣。ケルト神話の太陽神であるルーの持つ剣とされており、どんな鎖も切り裂くことができる切れ味を持ちます。剣を投げれば自動的に相手に当たって倒し、また手元に戻ってくる、という素晴らしい剣です。
●アスカロン
ドラゴン退治の伝説で有名な、キリスト教の聖人の一人ゲオルギオスが持つ剣。竜退治の際にこの剣を使ったとされており、「ドラゴンスレイヤー」の異名を持ちます。ゲームに登場するアスカロンに対竜属性があったりするのはこのためです。
●バルムング(バルムンク)
叙事詩『ニーベルンゲンの歌』で英雄ジークフリートが持つ剣。ニーベルンゲン族を倒して手に入れた剣で、悪竜ファブニールを倒すといった功績を挙げました。そのため、バルムングも対竜武器としてゲームに登場したりします。
●ダーインスレイヴ
アイスランドの詩人が記した詩の教本『スノッリのエッダ』に登場する魔剣。デンマークの王・ヘグニが所有するとされており、鞘(さや)から一度抜くと血を浴びるまで鞘に納まらないという恐ろしい性質を持ちます。
●天の叢雲(天叢雲剣)
ゲームには最強の日本刀武器という形でよく登場します。この天の叢雲とは三種の神器の一つ「草薙剣(くさなぎのつるぎ)」の異名。つまり両者は同じものなのです。ですから、「草薙剣」と「天の叢雲」が同時に登場するのは矛盾しているということになります。
●村雨(むらさめ)
日本の『南総里見八犬伝』に登場する架空の刀。八犬士の一人である犬塚信乃が振るう宝刀です。鞘から抜くと露が発生する、付け根から水が湧き出し相手の血を洗い流す、など不思議な力を持っています。
他にも、アニメやゲームにはこうした神話・説話・小説に出てくるやりや防具などが登場しますが、その逸話などのバックボーンを知ると、なぜその属性でそのような特性、特殊攻撃が設定されているのかなど納得できたりします。意外と面白いエピソードもあるので、機会があればぜひ調べてみてください。
(中田ボンベ@dcp)