海外でクリスマスのディナーと言えばターキー。映画やドラマでもターキーを食べるシーンを見かける。だが筆者はクリスマスにターキーを食べた記憶がないし、皆さんもないのでは? 「教えて!goo」に寄せられた「外国ではメジャーなターキー。皆さんはご家庭で食べたことがありますか?」に寄せられた回答を見ても、日本ではあまりターキーを食べないようである。
■海外ではメジャーだけど……
「真空パックのものを食べたが、別段旨いとも思わなかった。鴨の方が旨いと思う」(pdmichimaruさん)、「ありません。そもそも売っているのをみたことがない……」(mirukudesuさん)という回答からも分かる通り、やはり日本ではターキーを扱う店が少なかったり、あっても真空パックのものであったりで、本格的なターキーを食べるチャンスが少ないというのが現状の模様。でもそれってなぜなのか? 肉を中心に、日本では珍しい高級食材なども取り扱う株式会社グルメミートワールドの田村幸雄さんに伺ってみた。
■日本の食卓に浸透していない理由
「日本の場合、まずホームパーティーを開く風習があまりありません。そのため大きい肉を家庭で食べるという習慣自体が、海外に比べ少ないのです。骨付きの丸鶏を食べるという習慣もなく、あったとしてもせいぜい1年に1回のクリスマスでしょう。そのため海外では家庭に当たり前にある大型のオーブンも、日本では普及していないのが現状です。さらに鶏と比べてターキーは大きいので、扱い方が分かりづらいと思われがちなのです」(田村さん)
日本食と言えばそもそもは一汁三菜を基本としたシンプルな料理が特徴。大きな肉が丸ごと食卓に上る、という伝統はない。またホームパーティーのような習慣もない。だが最近では自宅で家飲みや女子会なども増えてきている。ターキーの登場シーンも少しずつ増えたこともあり、今ではインターネットでターキーを注文することもできるようになった。よって以前よりも入手はしやすくなってきていると田村さん。
では家庭でターキーを調理し、楽しみたい場合にはどうすればよいのだろう。さらに田村さんに伺った。
■ターキーを家庭で楽しむ方法
「ターキーはもともと大型オーブンに入れてしまえば、ほとんど入れっ放しのまま調理が完了する程、神経質にならなくても良い食材です。しかし10kgのターキーですと、焼き上がりに12時間かかるということもざらにあり、日本人の感覚では『そんなにかかるの?』と思うかもしれません。でも大食漢を抱えるアメリカでは、効率よく食べられる肉なのです」(田村さん)
そもそもとして10kgもある肉を扱ったことがない上に、12時間も肉を焼くということに筆者はただただ驚くばかり。そんな筆者に田村さんはこう畳み掛けた。
「味は大きければ大きいほど美味しいのですが、調理するにはそれなりの大きなオーブンと冷蔵庫が必要です。オーブンがない場合は、バーベキュー用のウェーバーのような器具があれば代用もできます。ターキーも大きさがいろいろありますので、まずはご家庭のオーブンと冷蔵庫に入るサイズのターキーを選んでいただくのがよいでしょう」(田村さん)
とにかくスケールが大きいターキーであるが、口にするまでに必要な工程は思いのほかシンプルである。
まず2~3日、肉の下処理用のブライン液に漬け込む。続いて肉1キロに対して1時間を目安に、オーブンの低温でじっくりと焼く。これが一般的な方法とのこと。また、肉の周りだけに味付けしておいてオーブンで焼き、焼き汁にワインやビネガー、塩胡椒、野菜類などを入れたソースにつけて食べるという方法もあるそうだ。
■焼き立てよりも冷めてからが旨い
意外と知られていないのが、焼き立てを食べるのではなく「ちょっと冷めてから食べる」のが美味しいということ。丸々焼いた肉を何日もかけて食べるのがターキーの楽しみ方であり、冷蔵庫から出しては、ターキーサンドや、ターキーのサラダなどにしていただくものらしい。ちなみにハムのように冷たい状態でも美味しく食べられるそうだ。
さらに骨や皮からも出汁が取れ、麺類やスープなど様々な料理に応用が利く。結果として一匹あれば家族みんなで3~4日は楽しめるそうだ。しかも丸々調理することで、すべての部位を余すことなく美味しく食することができるのもターキーならではという。
もしご家庭のオーブンや冷蔵庫がこのボリューム満点のターキーに耐えうることができるようであれば、挑戦してみてもいいかもしれない。
●専門家プロフィール:田村 幸雄
教えて!goo スタッフ(Oshiete Staff)