2015年10月から約30年ぶりに新作テレビアニメが放送されている「ルパン三世」。原作漫画から数えて、実に50年近く愛され続けている作品だ。なぜここまで長期にわたって人気を博しているのだろうか。「教えて!goo」で「ルパン三世はなぜここまで人気なのだと思う?」と聞いたところ、「キャラがどれも魅力がある。(中略)それを決して2枚目とはいえないルパンが率いるから面白いのだろう」(ROKABAURAさん)、「ルパンが、脳天気で明るく楽しいキャラだから。不二子ちゃんが色っぽいから」(haiji1996さん)など、キャラクターを理由とする回答が多く集まった。そこで、その魅力を深く知るべく、心理学者の内藤先生に話を聞いた。
■科学と実績によって証明されている人気の理由
「みなさんのおっしゃる通り、『ルパン三世』が人気を集める一番の理由は、個性的かつ魅力的なキャラクターにあります。主人公のルパンは泥棒ですよね。泥棒や盗賊は昔から人気のあるキャラクターなのです。脇を固める次元大介はガンマンですが、西部劇を見ればその人気が出るのは明らかです。また、映画『七人の侍』の人気になったことを考えると、侍の石川五ェ門が好まれるのも裏付けがあったことがわかります。そこに、峰不二子の登場です。美女がいれば人気が出るというのは、広告心理学の分野でも証明されています。つまり、データや実績によって人気が出ることが証明されている最強のメンバーが登場するわけです。人気が出ないはずがありません」(内藤先生)
世に出ている作品にはキャラクター以外にも、題材やストーリー、演出や絵柄が評価されるものも多い。ルパン三世にもそれらの要素はないのだろうか。
「全くないわけではないと思いますが、やはりキャラクタ―の魅力にはかなわないです。たとえば、『一番好きなストーリーは何ですか』と聞かれても、『え、忘れちゃった』という人は少なくないと思いますよ」(内藤先生)
劇場作品であればそのタイトルも出てくるかもしれないが、個々のアニメ作品を列挙するのは難しいのかもしれない。キャラクターが人気であることを踏まえると、スピンオフ作品も当然人気になるのだろうか?
■スピンオフもヒットの可能性
「一概には言えませんが、ヒットするのではないかと思います。泥棒のルパン、ガンマンの次元、侍の五ェ門など、魅力的で特殊な職業の人が揃っていますから」(内藤先生)
確かに特殊な職業のキャラクターを描いた作品は多い。だが、ルパンはそもそも泥棒だ。悪人のはずのルパンに魅力を感じる視聴者が多いのはなぜだろうか。
「かつて、ねずみ小僧という泥棒がいました。歴史上は、単なる泥棒だったという説もありますが、創作上は、お金のあるところから盗み庶民に分け与える『義賊』として描かれました。ルパンも弱い立場の人間のお金には手をつけません。そんな憎めないところが、人気を集めているのかもしれません」(内藤先生)
原作のモンキー・パンチ氏は否定していたといわれているが、ルパンに「義賊」という印象を持っている人は少なくないだろう。脳天気で明るい設定や特殊な職業設定など表面的な理由だけでなく、登場するキャラクターの言動一つひとつに、人気の秘密があるのかもしれない。
●専門家プロフィール:内藤 誼人
教えて!goo スタッフ(Oshiete Staff)