少子化の進む日本。政府は「新・三本の矢」で出生率1.8を目標に掲げる政府は、さまざまな少子化対策を講じている。しかし根本的に必要なのは「20代を中心とする若者世代の収入アップ」であるということは、すでに各方面から指摘されているところだ。
ているが、果たして実現は可能なのだろうか。日本創成会議の「ストップ少子化・地方元気戦略」では、その達成のカギを握るのは「20歳代の結婚・出産動向」としているが、若者は子どもを持つことを前向きにとらえているのか。
どうやら、出生率を上げるには、安定した収入が重要のようだ。SMBCコンシューマーファイナンスが20代の男女1000人に「金銭感覚の意識調査」について行ったところ、過半数の人が2人の子どもを出産して育てるには世帯年収が700万円必要だと考えていることが分かった。
昨年よりも「結婚・出産への金銭的な不安」が高まる調査ではどれくらいの世帯年収があれば結婚や出産・子育てをしたいか」を聞いている。その中から、過半数の人がそれぞれに前向きになる世帯年収を見てみると尋ねたところ、結婚は「年収400万円」50.3%、1人目の出産は「年収500万円」56.4%、2人目の出産は「年収700万円」57.1%が最多という結果になった。少なくともその程度の収入がないと踏み切れないということだ。
世帯年収500万円なら「結婚に踏み切れる」66.7%また、厚労省の2014年「国民生活基礎調査の概況」を参照して、「世帯年収500万円」を標準としたの場合のとらえ方はにどこまで踏み切れるかとの問いには、「結婚」が66.7%、「1人目の出産」が56.4%と半数を超えたが、「2人目の出産」は35.2%にとどまった。
昨年の調査結果と比較すると、同じ「世帯年収500万円」でも、結婚が71.2%から4.5ポイント減、1人目の出産は59.2%から2.8ポイント減、2人目の出産は39.3%から4.1ポイント減少しってている。
この結果を受け、に、調査元は次のように分析している。
「結婚や出産・子育てに対して、金銭的な不安を感じている方が増えている状況にあるといえそうです」
厚生労働省が10月に発表した調査でも、若者世代が出産・子育てにより前向きになるために必要なこと、大事だと思うこととして「安定した雇用と収入」をあげた人が72.4%を占めた。ネットには「当たり前」「調査するまでもない」という声も見られる。
すでに子育て中のと分析している。実際、子どものいる人は、少しでも負担を減らしたいと考えているようだ。冒頭の調査では、「消費税の「軽減税率の適用対象」を自身で選べるとしたら、どんなものに適用するか」という質問ではに、子どもがいる人の68.1%が「子育て・出産用品」を選択している。
共働きしたいけど、実際現実は片働き「家庭と仕事の両立難しい」が多数ただ、子どもを1人持ってもいいと思えるし「世帯年収500万円」であってといえども、20代の場合では共働きでないと達成が難しい人もいるだろう。そのためか、冒頭の調査では、未婚者812人に「結婚後は共働きか片働きどちらを選択するか」聞いたところとの問いに、「共働き」と答えた人が80.0%でと大多数多数派となったを占めている。
しかし、現実は甘くない。既婚者188人に聞いたところ、実際は「どちらか一方の片働き」55.3%となる人が少なくないのが現実のようだ。が多数派。調査元は「家庭と仕事の両立が難しくい、希望に反して片働きとなっている方が多いのでは」ことがこの原因になっていると推測している。
「諸々の事情で共働きできない環境にいる場合、 出産・子育てをしたいと思えるような世帯年収に届かず、"子どもが欲しいけれどもお金がない"といった状況に陥ってしまう夫婦も珍しくないと思われます」
正社員として高収入を得るためには、長時間労働にも耐えなければならず、長時間労働を容認すれば出産や育児も難しくなってしまう。やはり生産性を向上させて、できるだけ残業をせずに業績を上げる工夫をする働き方もポイントとなりそうだ。と指摘している。国税庁が2015年9月に発表した2014年分の「民間給与実態統計調査結果」では、20代前半の平均年収が男性で265万円、女性で231万円、20代後半の平均年収が男性378万円、女性297万円となっている。平均すると、20代の平均年収は男性で321万円、女性で264万円だ。共働きをしたとしても585万円で、「2人目の出産」を前向きにとらえる700万円に届かない。出生率1.8を達成するには、まず「若者世代の賃金アップ」という壁がありそうだ。
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