『進撃の巨人』や『GANTZ』、そして『テラフォーマーズ』といった大ヒットマンガたち。これらはTVアニメ化や劇場映画化も果たしているので、普段はマンガを読まない人も名前くらいは聞いたことがあるだろう。
この3作品に限らず、最近人気を呼んでいるマンガには、ある共通した要素がある。それは【未知の敵と、それに立ち向かう人類】の構図だ。圧倒的な強さを持つ“未知の敵”の脅威にさらされる人類。戦いの中で仲間たちが次々に無惨な死を迎えながらも、主人公は絶望に立ち向かっていく――。全編に渡って描かれる“凄惨な残酷描写”と、抑圧された状況から解放へと向かうカタルシス。これらは“人類滅亡の危機”系マンガがヒットするのに欠かせない要素となりつつある。
そんな“人類滅亡の危機”系マンガの新機軸として最近注目を集めているのが、コミック誌「ドラゴンエイジ」で連載中の『御伽のレガリア』(福原蓮士/KADOKAWA)だ。
◆あらすじ
本作には、通常兵器が効かない【未知の敵】や、鬼の襲撃によって平凡な日常が崩壊する【日常から非日常的への急転換】、そして物語の主軸を担うメインキャラかと思われた幼なじみたちが物語序盤で……なことになる【先の読めない衝撃的展開】といった、“人類滅亡の危機”系マンガが好きな人たちをゾクゾクさせる展開が目白押し。
また、先に挙げた『進撃の巨人』などと比べて、本作をよりヒロイックな物語にしているのが【継人の生い立ち】である。実は継人は吉備津彦命(きびつひこのみこと)こと、日本では知らぬ者はいないおとぎ話の主人公・桃太郎の子孫なのだ。桃太郎はおとぎ話で語られている通り、宝刀「布都御魂剣(ふつのみたまのつるぎ)」を振るって鬼たちを征伐した。そしてその血を引く継人は、鬼に対抗できる武器「レガリア」のひとつである「布都御魂剣」を扱える唯一の人間なのである。
誰もが慣れ親しんだおとぎ話の登場人物を、かつて【未知の敵】を打ち破った英雄として扱う設定は、作品の世界観に“わかりやすさと取っつきやすさ”を与えている。また、作中では「桃太郎」以外のおとぎ話の登場人物も登場するようで、「次はどんなおとぎ話が題材になるんだろう」「あのおとぎ話に登場する人物の子孫は、どんなキャラクターなんだろう」という期待へとつながっている。
“人類滅亡の危機”と和風ファンタジーの要素が融合した『御伽のレガリア』が、今後どんな展開を見せていくのか。そして『進撃の巨人』に代表される大ヒットマンガに追随できる作品へと成長していけるのか、注目していきたい。
『御伽のレガリア』(福原 蓮士 / KADOKAWA)
四国封鎖のニュースが流れ、黍都継人の通う高校の校庭に突如黒い球体が現れる…。異変に気づいた継人は幼馴染の亜十媛アルマと宇良勇吾がいる教室へ向かう。しかしそこに待っていたのは、黒い異形の化け物だった…。