岐阜県美濃加茂市というところのポスターが撤去される事態になりました。
本当に
心から
いい加減にしてくれよ、の世界です。経緯を少々。
岐阜県の美濃加茂市を舞台にしたアニメがあるそうです。タイトルは「のうりん」。県立の農業高校が舞台で、ラブコメディ作品として人気がありアニメ化もされていたそうです。そして、作者の方も美濃加茂市近くの出身なため、市を頻繁に訪れるだけでなく、市の1日観光局長なども務めるなど、地域発展に貢献してこられてきたとか。
しかし、そのアニメキャラがいわゆる「萌えキャラ」というんでしょうね。確かに私の目から見てもちょっと何がいいのかよく分からない、いわゆる「オタク的」なタッチで描かれている絵柄なので、拒否反応を示した女性陣がいたようです。そして例によって……
抗議の電話、殺到。
もうね、本当にこういう電話してくる人って、お願いだから「日本国憲法を読んでください」以外のコメントのしようがないんです。
日本人ですよね？ じゃあ、一応、日本国憲法だけでも読みましょう。
あの「萌えキャラ」と言われるイラストを見れば、確かに豊胸手術でもしない限りありえない胸の大きさだし、いたずらに性的刺激を煽っているのだぁ！と怒りたくなる気持ちが……分からないとは言わないです。と、言うか、多くの人がその批判している人の気持ちに同調することでしょう。なんだか卑猥な感じでもしたのでしょう。
でも、ここは日本です。
多種多様な表現・多種多様な価値観を明確に認めている民主主義国家です。
分かります。なんだか一般的ではないイラストだな、と。そうだと私も思いますけれど、そういうイラストが大好きな人たちがいるわけじゃないですか。しかも、そういう「萌えキャラ」がもたらす経済的効果は、秋葉原の発展を例に挙げるまでもなく明確に数字となって表れています。
地方の発展を考える中で、一つの工夫として捉えられることすらできないのでしょうか？
おいおい、胸が大きすぎるだろ。
分かります。それはその通りだと思いますよ？ 「セクハラだ」と叫ぶ人は頭がおかしいとは思うけれど、嫌悪感を持つところまでは理解します。
でも、それらを「排除しよう」としたらダメだろ。
そんな文化もあるのです。自分たちには理解できない文化もあるのです。しかもそれは明確に経済効果が認められているのです。違法行為でも何でもない「多種多様な文化」を排除しようとし始めたら、その国にも地方にも発展は見込めません。新しいイノベーションは絶対に起きません。
「理解できないこと」と「排除しようとする」ことは実は全くリンクしていません。クレームを入れている人はお願いだから、寝る前に日本国憲法を二度ほど読んでから寝てくれ。日本人なんだから。ポスターが撤去されたというニュースを見て、悲しくなりました。
長谷川豊（Hasegawa Yutaka）