【ウィーン時事】主要産油国で構成する石油輸出国機構(OPEC)は4日、ウィーンの本部で総会を開き、加盟国の原油生産について協議した。世界的な供給過剰で原油相場は低迷を続けているものの、ロシアなどOPEC非加盟の有力産油国が高水準の生産を継続。このため今回の総会では、生産目標を設定しないまま、市場動向を見極めていくことを確認した。
OPECは総会後に公表した共同声明で、これまで日量3000万バレルとしていた生産目標について明示しなかった。OPEC加盟国の実際の生産量は直近の10月で日量3138万バレルと、目標を超過している。
カチクOPEC総会議長(ナイジェリア石油担当相)は記者会見で「経済の現状などを踏まえれば、来年6月の次回総会で市場の潜在性を見極める」と述べる一方、生産目標には触れなかった。
原油価格の国際的基準である米国産標準油種WTIの先物相場は今週、一時1バレル=40ドルを割り込んだ。需要の伸びを主導してきた中国など新興国の景気減速が続いており、供給過剰が解消されなければ、相場に一段と下落圧力がかかりそうだ。
米国のシェールオイル生産には減少の兆しが見えるものの、ロシアはソ連崩壊以降で最高水準の生産を行っている。OPECの盟主サウジアラビアのヌアイミ石油相は「市場の需給均衡を望むいかなる勢力とも協力する意向だ」と述べ、非OPECも含めた協調が実現しない限り、生産目標を堅持する方針を強調した。
一方、石油収入減で財政難に陥るベネズエラは減産による価格引き上げを主張。ただ、伝統的に同国と並んで相場押し上げを志向するイランが、欧米の経済制裁解除をにらみ生産拡大に意欲を示すなど、減産支持は広がりを欠いている。