中国メディアの新浪網は3日、「スモッグの武器に対するはどの程度か、偵察は不調、ミサイルは精度低下」と題する記事を発表した。主に米軍を念頭に、中国の深刻な大気汚染は「防衛する側に有利」と論じた。
記事は冒頭部分で、大気汚染は人の健康や屋外活動に影響を与えるだけでなく、軍事における作戦行動にも影響と指摘。
まず、可視光線による偵察については、航空機だけでなく「上は衛星から、下は偵察車両まで」能力が低下すると指摘。可視光線を用いた偵察方法は視界が1000メートル以下になるとほとんど意味を失うが、中国では大気汚染で視界が頻繁に数十メートルに低下すると説明。
合成開口レーダーは大気汚染の影響を比較的受けにくいが、そもそも可視光線による偵察よりも精度で劣ると指摘。
赤外線は透明度の低い大気の影響を受けるとして、1991年の湾岸戦争に投入された米戦車「M1A1」を例とした。搭載している赤外線カメラを使って2500メートル先に照準を合わせられるはずだったが、砂塵が舞い上がると、800メートル程度が限界になった。イラク軍戦車の光学装置はほとんど役に立たなくなったという。
攻撃用兵器としては、精密に誘導されるミサイルなどが影響を受けると指摘。大気汚染のGPSに対する影響は無視できるが、可視光線による画像、赤外線、レーザーによる誘導は、すべて影響を受けるという。
さらに、人が目標を確認してから発射するタイプの武器は「目標がみえなければ撃てない」と指摘した。
有人航空機についても、視界不良になれば着陸時のリスクが高まると指摘。1995年には、ロシア空軍のSu-27戦闘機3機が当時租借していたカムラン湾基地への着陸に失敗して山に激突した。濃霧による視界不良が大きな原因のひとつだったという。
写真は11月19日に山西省太原市で撮影。マスクを着用して「健康のためのウオーキング」に励む市民。龍のモニュメントの後方には大きな建物があるが、ほとんど見えない。
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◆解説◆
新浪網の上記記事は、張少将と同様の主旨だが、読者から寄せられたコメントに、記事への非難は見当たらない。「大気汚染はよいものだ! 祖国防衛と世界平和は大気汚染のおかげ。だから、全力で大気を汚染しよう」など、皮肉とあきらめが感じられる書き込みが目立つ。(編集担当:如月隼人)(イメージ写真提供:CNSPHOTO)