中国人アーティストのリュウ・ボーリン氏が今、話題だ。彼は自身をカモフラージュしてアートの一部にしてしまう。北京を拠点に活動する彼は、これまで世界各国の美術館で展示を行なっており、 “透明人間” として名を広めている。
そうしたニックネームは彼の、背景に合わせて自分自身をカメレオンの様に馴染ませてしまう技術によるものだ。それは、一見しただけでは彼がどこにいるのかわからないほど。
最近の作品で彼がカモフラージュしているのは、ぬいぐるみのラック、世界の国旗、スーパーのビールのディスプレイ、また雄大な滝をたたえる山、ハリウッドサインなどバラエティ豊かだ。
美術で修士号を有するボーリンは、文化大革命後に中国が急速な経済成長を始め、政治的にも比較的安定した1990年代初頭に頭角を現した芸術家のひとり。彼は作品を、社会における自身の役割を表したものだと語る。「誰もが外の世界と自身との独自の繋がり方を選ぶ。私は環境に溶け込むことを選んだ」とボーリン。作品作りの際には、彼は10時間にわたるメイクを施してから撮影に臨むそうだが、通り過ぎる人でさえ彼の存在に気づかないという。