日本を訪れた中国人観光客などによる"爆買い"が話題だ。この言葉は、年末恒例の『2015 ユーキャン新語・流行語大賞 』にも選出されている。中国人観光客が"爆買い"するものといえば、家電製品、化粧品、衣料品といったものが思い浮かぶだろう。だが、意外なものも買われている。それがエロ関連のグッズである。この背景について、日本在住の中国人男性である王氏(30代・仮名)に話を訊いた。
「まずエログッズで売れているのは、コンドームですね。"オカモト"や"サガミ"といったメーカー名は中国でも知れ渡っています。さらに"0.01ミリ"というクオリティも知っているので、みんな買い占めていますね。自分たちで使うだけでなく、おみやげに配ったり、国内で定価以上で転売できるのも魅力となっています。大量に買い本国で売れば、条件によっては旅費滞在費もペイできてしまうほどです」(王氏)
王氏自身、中国在住の親戚や友人から代理購入を頼まれることもあったという。さらに、コンドームとセットでローションや自慰グッズを買っていく中国人観光客も多いのだとか。
「中国国内ではアダルト動画や写真は違法であり"ご法度"ですが、ネットでいくらでも出回っているのが現状です。日本の動画だけでなく、中国人同士がオンラインチャットで裸を見せ合ったものや、個人的な動画がウイルス感染で流出するなんてこともあります。動画には事足りている一方、快楽を求めるグッズが不足しているため日本でこれらの物が売れているんです」(王氏)
日本のAV女優である蒼井そらが中国で大人気となっているのも、もとは違法アップロード動画から人気に火がついたといえる。だが、AVを見るだけでは飽きたらず、よりマニアックなグッズを買っていく中国人もいる。
「SMグッズを"爆買い"していく中国人もいますね。SMプレイ用には、毛羽立っておらず体を傷つけない縄や、火傷しないロウソクなどがあるので、まとめて買っていくようです。中国人は人口が多い割には、性癖はノーマルな人が多い印象があるんですが、それはメディアの影響もあったのでしょう。ネットの普及によりアブノーマルな変態性欲に目覚める中国人も増えています」(王氏)
さらに中国人観光客の欲望の対象はエログッズにとどまらず、日本の性風俗へも向けられる。日本の風俗店は表向きは外国人客の利用を受け付けていない。だが、金を積めばどうにでもなるのが現状だ。
「『女体盛りがしたい』『ストリップショーが見たい』『AV女優やモデルを抱きたい』と中国人の欲望はさまざまです。これもネットの影響でしょう。金に糸目をつけず、欲望をかなえる人もいるようです。ただ、ほとんどの人は悲惨な体験をしていますね。歌舞伎町にふらりと行って"客引きについていったら何もできずに10万円ぼったくられた"といった恨み節がネットにはあふれています。あるいは、結局、連れて行かれたのが中国系の人間がやっている裏マッサージ店なんて悲しいオチもありましたね」(王氏)
エロは万国共通の需要がある。"爆買い"にもその影響が如実に現れていると言えよう。
(文=平田宏利)
※イメージ画像:「Thinkstock」より