ビデオゲームはストレス解消と生産性向上に大いに役立つことが判明 | ニコニコニュース

「Givling」公式サイトより。
おたぽる

 気分転換のひとつの手段として気軽にビデオゲームを楽しんでいる向きも多いと思うが、統計的、科学的に見てもやはりゲームはストレスを解消できる有効な方法であるようだ。


■カジュアルゲームは仕事の生産性を向上させる

 ゲームアプリのクラウドファンディングを行なっている「Givling」が18歳以上のインターネットユーザー500人強に行なったアンケートによれば、日常的にテトリスなどのような“カジュアルゲーム”を楽しんでいるゲーマーの53%がゲームでストレスが解消することを自覚しているということだ。また約3分の1のゲーマーが、ゲームでストレスが解消されることによって、仕事や学業、子育て、人間関係に好ましい影響を及ぼしていると認識しているという。

「ビデオゲームは人にストレスを溜め込ませて害を及ぼし、しかも時間を奪うものだという否定的なイメージもあるでしょうが、我々の調査ではそれとはまったく逆の効果が明らかになったのです」と、Givling創設者でCEOのリズベス・プラット氏はゲーム情報サイト「Game Sauce」の記事で語っている。

 ビデオゲームは時間の浪費だという認識も一般には根強いのだが、ゲーマーの65%はスキマ時間などにもしゲームをしなかったら、仕事の生産性が下がるだろうと考えているのだ。つまりビデオゲームをプレイすることで気分がリフレッシュされ、仕事や勉強に対するヤル気を復活させることができるということになる。またゲーマーの多くは、確かに孤独になりがちであることは自覚しているものの、社交性の自己評価に関してはゲームをしない人々とさして変わらないということだ。そしてゲーマーの71%が自分の人生がおおむね幸せで生産的であると認識しているという。

 この調査での“ゲーマー”はあくまでも1日に合計30分ほどゲームを楽しんでいるカジュアルなゲーマーのことではあるが、ゲームが生活に活力を与えている実態が分かったことは興味深い。「(スキマ時間に)数分間ゲームを楽しむことで、メンタルヘルス面で素晴らしい効能を得られるのです」とプラット氏は加えている。生産能率の向上、メンタル面の健康と、ビデオゲームが持つ好ましい効能に注目が集まっているようだ。


■対戦プレイでも協力プレイでもストレスは下がる

 科学界からも、ゲームがストレスを低減させる効果があることが報告されている。しかも、協力プレイでも対戦プレイのどちらもストレスを解消させるというのだ。

 ここ一番で踏ん張らなければならないスポーツの試合のように、ゲームで対戦するときもそれなりに身体が緊張するものだが、もちろんプレイを続けているうちに徐々に緊張は和らいでくる。ではこの緊張の緩み具合が例えば戦争ゲームの『バトルフィールド』の対戦プレイと協力プレイでは違ってくるのだろうか。

 米・フロリダ州のステッソン大学の研究チームが先頃発表した研究では、100人の男性の実験参加者に、ランダムに女性のゲーマーを割り当て、『バトルフィールド』のようなやや暴力的なゲームを対戦プレイと協力プレイで行なってもらい、プレイ中の男性のストレスをチェックした。すると対戦プレイと協力プレイのどちらでも、プレイを続けていくうちに同じようにストレスは低減していったということだ。参加者の男性には一緒にゲームをプレイした女性の評価もしてもらったのだが、やはり協力プレイを一緒にした女性のほうが僅かにいい印象を持ったということだ。しかしその差はほんの僅少で、対戦相手であった女性にもおおむね良い印象を持ったという。

 戦争ゲームのように集団で戦闘を行なうゲームは、その団結心で攻撃性がどんどんエスカレートしてプレイヤーを凶暴な人格に変えてしまうのではないかという懸念が以前から寄せられていたのだが、実際にはそんなことはないこともまた改めて確認されることになった。対戦競技のスポーツ選手が特に凶暴な性格を持っているわけではないこととまったく同じである。ビデオゲームにまつわる誤解が払拭され、むしろゲームの利点が報じられてきているのはゲーマーにとっては朗報だ。これからも節度をもってゲームを楽しみたいものだ。
(文/仲田しんじ)


【参考】
・Game Sauce
http://gamesauce.org/news/2015/11/17/givling-survey-91-say-casual-games-help-them-cope-with-stress/