するどい皮肉がたっぷり効いてます。
11月30日からフランスのパリで開催されている「気候変動枠組条約第21回締約国会議」略して「COP21」。地球温暖化についてどのような対策をしていくのか、どの国がどれくらい責任を取るべきなのかなど。わたしたちの未来にかかわる大切な話し合いが行われています。
そんななかイギリスの活動家グループ「Brandalism」が、COP21のスポンサー企業を偽善的だと批判する600もの広告をパリに設置しました。
「Brandalism」の目的は、偽の広告によって「COP21が企業に乗っとられてしまっていること」を指摘し、広告や消費主義、化石燃料と地球温暖化の関連性を暴きだそうとすること。19カ国もの国から集まった総勢82人のアーティストたちによって作成された広告は、ぱっと見ではニセものだとわからないデザインになっています。
「気候変動に立ち向かう? もちろんしませんよ。我々は航空会社ですから」(Credit: Brandalism)
「化石燃料の影響について知っていましたが、公的には否定していました」(Credit: Brandalism)
広告のターゲットになったのは誰もが知っているフォルクスワーゲンやエールフランス社さらにダウ・ケミカルやフランスの電気・ガス会社「エンジー」や石油エネルギー会社「Total」など、名だたる企業たち。さらにフランソワ・オランド大統領やデーヴィッド・キャメロン首相、アンゲラ・メルケル首相に安倍首相など各国首脳も登場しています。
バラク・オバマ大統領が娘と海水浴を楽しんでいる様子。背景には石油が燃えています。(Credit: Brandalism)
イギリス首相デーヴィッド・キャメロン氏。レーシングスーツにはShellやBritishGasのスポンサーロゴが。(Credit: Brandalism)
安倍首相の広告も。(Credit: Brandalism)
BrandalismのJoe Elan氏は次のように語っています。
気候変動に関する会議のスポンサーになりさえすれば、大気汚染を引き起こしている代表的な企業(エールフランスやエンジー)が問題を解決する側のようにふるまうことができる。彼らが問題を引き起こしている側にもかかわらず。わたしたちは彼らが保有している空間を取り戻すことで、持続不可能な消費主義を広めようとする広告に挑戦しようとしています。広告業界は化石燃料から作られたプロダクトを押しつけています。これは気候変動と密接に関係しているはずです。
気候変動についての会議や、企業がスポンサーとなったイベントでも同じように、どれだけお金を持っているのかが影響力を決めてしまうのです。屋外広告が証明しているようにね。
Ad WeekのAngela Natividad氏は、Brandalismの目的を「とくに気にしていない(気候変動の)イベントと、自分たちを結びつけようとする企業の偽善性を強調すること」だと指摘しています。
「クリーンな運転を。あるいはそんなフリを」(Credit: Brandalism)
広告が設置されたスペースは巨大な広告ファームのひとつ「JCDecaux」が所有しているもの。彼らもCOP21の公式スポンサーとなっています。
自らの活動を「視覚的領域における企業の支配に抵抗」と表現している「Brandalism」。2012年に活動をスタートさせ、メンバーはイギリスの10都市に広がっています。2014年5月には360もの企業広告スペースを「reclaim(取り戻し)」、オリジナルのアート作品を設置して話題になりました。
source: Brandalism; h/t AdWeek
George Dvorsky - Gizmodo US [原文]
(Haruka Mukai)