シカゴ在住のアーティスト,William Chry(ウィリアム・チャー)氏が3年に渡って開発を続けているパズルゲーム「Manifold Garden」(PC/PS4/Xbox One)が,PlayStation Experience 2015に出展されていた。
筆者は,E3 2015のMicrosoftブースにおいて,「Relativity」というタイトルで本作のデモが出展されているのを見たことがある。そのオリジナルタイトルは,マウリッツ・エッシャーの版画アートの名称から採用されたものだったのだが,権利関係の問題で,数か月前に現在のManifold Gardenというネーミングになったとのことだ。
本作がどのようなゲームかを言葉で説明するのは非常に難しいが,空間の中に浮遊する,無限につながっているかのような建造物が舞台となっている。プレイヤーは,その建造物に散乱しているブロックを建物の縁から落として,指定されたポジションに誘導することで水の流れを作り出したり,植樹を行うことで空中庭園を作り出したりするのだが,これが非常に思考力を必要とするパズルになっているのである。そうしてミッションをクリアしていくたびに,より複雑な構造物とパズルが登場することになるという。
また,繰り返し模様の中でループし続けるエッシャーの絵と異なり,このゲームでは「外の空間」をうまく利用する必要がある。構造物から突き落としたブロックは,下にある別の構造物へと落下しているように見えるが,実は同じ構造物の底部分に着地している。同じように,構造物の左面から落とせば,同じ構造物の右面に着地するのだ。つまり,本作の空間は,同じ構造物のミラーイメージが広がって構成されているのである。
チャー氏は,構造物アーティストとして,巨大なオブジェクトを建物内外に設置するという活動を続けているが,シカゴ大学では物理学を専攻するなど理系の人物だ。本作は,独立系デペロッパを補助する「インディファンド」から奨学金を得て3年にわたって制作している。Twitchで自分がゲームを開発する様子をリアルタイムで配信するなど,これまでのゲーム開発の常識を打ち破るようなスタイルでの開発がなかなか興味深い。
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