皆さんは口内炎になり、その痛みに苦しんだ経験はないだろうか。筆者はまさにその一人であり、仕事が忙しくなると口内炎がすぐできてしまう。この痛みと苦しみから逃れたいと考えた筆者は、「教えて!goo」で「口内炎になった時、あなたがしていることは?」と皆の対処法を聞いてみることにした。すると「口の中を清潔に保つために、いつもより多めに歯磨き。後は、疲労を取るために自分でマッサージとかストレッチ(中略)」(gldfishさん) のように、口内を清潔にして体調管理を心がけるという意見から、「口内炎用の塗り薬を使用します」(cap_fukazawaさん)のように、薬を使用するという回答が寄せられた。
ところで口内炎というと口の中にできるイメージだが、口の中のどの辺りにできるのだろうか? 「お口の総合クリニック」つくばオーラルケアクリニック院長の飯田裕さんに口内炎について詳しく伺ってみた。
■口内炎ができる場所
「解剖学的に『口腔』とは、『のどちんこ』より前方のエリアをいいます。その後方や、舌の付け根は咽頭とよばれ、要するに『喉』のことです。『のどちんこ』の周囲は口峡咽頭といい、その辺りまでの炎症を口内炎と呼ぶのが適切でしょう」(飯田医師)
口内炎はほっぺや唇の裏にできるものと思いがちだが、どうやら喉の辺りにもできるらしい。そしてその口内炎の原因は、栄養不足や不摂生、ストレスと思っている人も多いと思うが、実際はどうなのだろう?
■実は医学的にも未解明のまま
「口内炎ができるメカニズムは、実は未だよく分かっていません。一般的には、偏食などによるビタミンやミネラルの摂取不足、胃腸の調子低下や寝不足、過労による体調全般の悪化が原因ともいわれています。また、胃腸の機能障害により、十分に栄養が吸収されないケースも原因として挙げられます。医学的根拠はありませんが、特定の細菌が原因という説もあります。恐らくは、複数の原因が関連していると考えられます」(飯田医師)
口内炎は、栄養不足やストレスが主な原因というのは間違いではなさそうだが、医学的にははっきりわかっていないとのこと。それどころか、重病の症状として現れる場合もあるという。
■症状が長引く場合は、重病の可能性も
「胃腸の調子が悪くなると口の中がただれたり、口内炎が多発したりすることは臨床的によくあります。繰り返し口内炎が複数個できて数週間治らないようなケースでは、慢性胃炎、胃潰瘍、肝機能障害など消化器系の病気という可能性があります。また、口の中にガンができることもありますので、長引く場合は口腔外科や耳鼻咽喉科を受診しましょう」(飯田医師)
口内炎は体からのSOSサインとも読み取れる。上述したような口内炎に悩まされている人はたかが口内炎と思わず、病院を受診しよう。ただなってしまった口内炎は治していくしかないが、すぐに病院へ行けない場合、自宅で何かできることはあるのだろうか?
■うがい薬で口をすすぐことは悪くはないが……
「口の中は元々細菌がたくさん住んでいる場所です。口内炎の創部に二次的に細菌が付着し化膿することもあります。なるべくきれいにしておいたほうが治りは早いはずなので、清潔にする意味で刺激が少ないうがい薬でよくお口をすすぎましょう」
うがいは、症状の悪化を避けるためには、一定の効果がありそうだ。ちなみにハチミツを塗るといいという人がいるらしいが、効果はないとのこと。塩水でのうがいも、0.9%以上の濃度では、創面の細胞にダメージを与え、逆に治癒が遅くなる可能性があるので過度に患部を刺激しないほうがよさそうである。
ただ、やはり口内炎ができてしまったら他の病気のサインかもしれないので、早めに病院での受診をおすすめしたい。そして普段から口の中を清潔にし、体調を整えておくことで予防に努めるといいだろう。
●専門家プロフィール:飯田 裕
教えて!goo スタッフ(Oshiete Staff)