ロングヘアの皆さんは、湯船に浸かるときは髪の毛をアップにしますよね?
Twitter上ではこんな習慣を元に、アニメや漫画のお風呂シーンで「登場人物が髪の毛をアップにしていない場合」は、作者や制作担当が「男性」であることが多いのではないか?という考察が話題になっていました。
現実はというと、ロングヘアをおろしたまま湯船に浸かってしまうと、髪の毛が水分を吸ってうねって肌にくっつく。とてもじゃないけれどそのまま描写すれば、美しさや可愛らしさなど皆無の見た目になってしまいます。イメージ的には「べったり髪の毛が張り付いた貞子状態」。
また、後からお風呂に入る人がいた場合、一日中外気に晒されて塵や埃まみれになった髪の毛を湯につけてしまうと非常に不潔ゆえに普通はあまりしません。
■ベッドイン直前のシャワーシーンで洗髪?
Twitterでは検証のため、女性キャラクターがロングヘアをおろしたまま湯船に浸かるシーンのアニメ画像が上げられていました。調べてみるとたしかに男性監督作品ばかり。
また、ベッドイン直前のシャワーシーンで女性が髪の毛をおろしたままだったり、洗髪したりする光景も。もしかしたらつくり手が男性だからではないだろうか……と思って調べてみたところ、こちらも該当シーンのあるアニメは男性監督の作品でした。
■例外を調べてみた
現在放映中のアニメ『ご注文はうさぎですか??』(TOKYO MX他)では湯船に浸かっているシーンで、リゼちゃんがちゃんと髪の毛をアップにしていました。監督は男性なので、例外も当然あるわな、と思いきや原作者の性別は不明で女性である可能性も……。
原作者も男性で監督も男性の例外はないのか、と探していたらありました。『新世紀エヴァンゲリオン』ではアスカもミサトさんもきちんとアップにしていました。
■漫画では……
漫画ではどうだろう、とお風呂のシーンやシャワーシーンを調べてみたところ、やっぱり男性作者の場合は髪をアップせずに湯船につかっている場面が多く、またベッドイン直前のシャワーシーンでも女性が髪の毛をおろしたまま洗髪している場合が結構見られました。たしかにロングヘアってそのままが一番造形的に美しいですもんね……。
けれど、これにも例外が。
倉科遼さん原作、和気一作さん作画による『女帝』では、主人公・彩香がベッドイン直前のシャワーで美しいロングヘアをきちんとアップにしていたではありませんか! 男と女の激情を長らく作品として発表されてきた大御所先生たちはやはりリアリティを大事にしているようでした。
■現代ではうなじよりもロングヘアのほうがセクシーに見える?
なぜお風呂シーンでロングヘアをおろしたまま描かれているのか?という問題について、元SMの女王で、エロコラムニストの筆者の立場から自分なりに考えてみました。
現代では露出が圧倒的に多い洋服が普段着になってしまい、露出の少ない着物と抱き合わせでセクシーの代名詞とされていた「うなじ」に魅力を感じる人が減っているのではないでしょうか。洋服を着ていたら首から下で十分に露出しているので、首から上はあえて露出しないほうがセクシーだという感覚になっている可能性が考えられます。それゆえに、たとえリアリティがなくてもお風呂シーンではロングヘアをおろしたまま描くことで、よりセクシーさを強調して生活感を脱臭していると考えます。
また、ベッドイン直前のシャワーシーンにおいては上記の理由に加え、ロングヘアを乾かすにはとてつもない時間がかかることを知らず、お風呂に入ったら絶対に髪も洗う、という男性特有の習慣が影響しているのかもしれません。もしベッドイン直前に髪の毛まで洗ってしまったら、乾かすまでに30分以上かかりテンションもムードもダダ下がりしてそれどころじゃなくなります。髪の毛がべしょべしょのままベッドインしてしまったら、冷えた水滴が気になりシーツもべしょべしょになってしまいお楽しみもクソもなくなってしまうのです。
「アニメや漫画はファンタジーだからしょうがない」という声も多くありました。たしかに読者や視聴者が違和感ないと思ったのなら、問題はないでしょう。けれど、筆者のように「違和感ありまくり」と感じる人も少なからずいるようです。
例外もあるところを見ると一概にこの方法で見分けられるとは言い切れませんが、その傾向はある、と最後に締めくくりたいと思います。
※写真はイメージです。(モデル:伊藤里織さん/ぱくたそ)
(文:貴崎ダリア)
※「アニメや漫画の入浴シーンで作者の性別が分かる?」はおたくま経済新聞で公開された投稿です