保育士不足を解消するために厚生労働省が打ち出した「保育業務 無資格でも従事可」の方針が、ネット上で物議を醸しています。
この方針は、認可保育所で子供の世話ができるのは、保育士、看護士、保健師に限られるという条件を緩和して、保育士不足を解消しようというもの。来年4月から導入予定で、子供の少ない朝夕の時間帯などに限り資格のない人でも働けるようにするそうです。もちろん研修を終了するなど、一定の条件は求められます。
ただし、小学校や幼稚園の教諭資格をもつ人は、時間帯を限定せずに保育が行えるようになるそうです。
こうした発表をうけ、保育士を目指している学生らからは「今までの努力はなんだったのか」といった悲鳴の声が上がり、他にも「何かあったときの責任問題はどうなるのか」という不安の声、さらには「保育士不足の抜本的問題は、給与面や待遇面。資格ではないと思う」といった指摘もあがっています。
日本総研が以前発表した資料によると、保育士登録者数は124.6万人(2014年4月時)で、認可保育所の常勤換算保育士数は35.6万人(2013年調査)。さらに、2015年1月時の保育士有効求人倍率は、全国平均で2.18倍、東京都においては5.13倍とされており、資格者不足というわけではなさそうです。
現在保育所の現場では、朝夕や人が少ない時について、保育士資格を有しつつも常勤できない人を中心に、パートタイムでフォローする環境も作られています。そのため、勤務時間が限られるとはいえ、既に資格を持っている人達にとっては、少なからず何らかの影響がでることは間違いなさそうです。
※「厚労省の規制緩和策「保育業務 無資格でも従事可」が物議」はおたくま経済新聞で公開された投稿です