2020年に開催される東京オリンピックの「エンブレム盗用問題」は今年、世の中を大いに騒がせたが、その当事者であった佐野研二郎もビックリの、ウルトラ「パクリ」疑惑がネット上で大いに話題となっている。
問題となっているのは「音楽」についてなのだが、過去にAV機器メーカー・FUNAIの社員として働き、その後上京した演歌歌手・平浩二が今回の主人公である。
過去には明治チョコレートのCMソングに楽曲が使われるなどしたが、一般人の知名度は決して高くない平。そんな彼が今、大きな注目を浴びている。今年5月に発売されたシングル「愛・佐世保」(徳間ジャパンコミュニケーションズ)のカップリング曲「ぬくもり」の歌詞が原因だ。
この「ぬくもり」の歌詞、人気ロックバンド・Mr.Childrenの「抱きしめたい」(トイズファクトリー、1992年)の歌詞に酷似、というよりほとんど“そのまんま”なのだ。「抱きしめたい」はミスチルのボーカル・桜井和寿が作詞・作曲を手がけ、多数の大ヒットソングを生み出してきたミスチルの楽曲の中でも屈指の名曲として、厚い支持を受けている。そんな「抱きしめたい」の丸パクリ楽曲疑惑が出てしまったのだから、騒がれるのも無理はない。
まずは、この「ぬくもり」と「抱きしめたい」の、序盤の歌詞を記載して比較する。
「ぬくもり」(2015)
出会った日と 同じように 霧雨の降る かがやく夜 目を閉じれば 浮かんでくる あの日のままの二人 人波であふれた 街のショーウィンドウ みとれた君が ふいに つまずいたその時 受け止めた両手のぬくもり… 今も抱きしめたい
「抱きしめたい」(1992)
出会った日と 同じように 霧雨けむる 静かな夜 目を閉じれば 浮かんでくる あの日のままの二人 人並みであふれた 街のショウウィンドウ 見とれた君が ふいに つまずいたその時 受け止めた両手のぬくもりが 今でも 抱きしめたい
ほとんどコピぺで記載が終わってしまった……。「ぬくもり」の歌詞は、異常なほど「抱きしめたい」に似ているのである。終いには「抱きしめたい」という言葉も入れてしまっている。大手ネット通販サイトのレビュー欄では「もろパクリ」「桜井さんは知っているのか」「やったな……」など、総じてこの酷似っぷりに気づいている様子だ。今後、歌手である平に対して相当なバッシングがなされる可能性は大きい。
ただ「ぬくもり」は、平本人が作詞・作曲した「愛・佐世保」とは異なり、作詞・沢久美、作曲・西つよしとなっている。もしかしたら、平自身が「抱きしめたい」を知らなかった可能性もないとはいえないので、単純に彼を責めるべきではないかもしれない。いずれにせよ、作詞の沢氏に関して疑惑は消えないのだが……。
編集部では発売元の徳間ジャパンコミュニケーションズにコメントを求めたが、〆切までに回答を得ることはできなかった。
ちなみにこの「ぬくもり」、曲調は「抱きしめたい」とはまったく異なる演歌調。いっそカバーをお願いしたほうがよかったのでは……。